スーパーゴージャスなパーティーのお値段は・・・
ではセレブたちに人気の出張料理なるもの、いったいどれくらいの予算でまかなえるのだろう。そういったスーパーゴージャスなパーティーのお値段、常人にはちょっと気になるところだ。
「支払いの形式は、最初“一人××ユーロ”と規定してそのなかに材料費を含めていたのですが、相手の要望に応じて、フォアグラやトリュフなどの高級食材をふんだんに使うと、一人250ユーロでも足りないくらい。そこで一人頭の作業費に加え、材料費を別途請求するという方法に変えたのですが、昔からの顧客にはそうもいかず、難しいところです」

基本となる250ユーロでも日本円に換算すると約3万4000円(1ユーロを約135円で換算)と、決してお安くはない。なにしろ、レストランのように市場から大量に仕入れるわけではないので、割高にならざるをえないのだ。顧客に要人ばかりが並ぶのも、ある程度のまとまった支払いができる人は限られるからだ。というのも、フランスのしきたりでは、招く側が全額を負担するのだ。日本のように会費制でということはまずない。持てる者、持たざる者が、よりはっきりとした社会なのである。
「私も最初はお金持ちなら、どんなに食材にお金をかけても構わないのかしら、などと思っていましたが、とんでもない! お金持ちほど、しっかりしています。厳しいですね。だから、出張ディナーにおいては、あくまで相手の要望や好みを尊重するようにしています」
実際、招かれる場に応じて、出張料理のやり方も随時変えている。前編の冒頭で紹介した話は飛び抜けた例だとしても、欧米の他国や中近東に招かれる場合は、疲れてはいけないからと3日前に現地に入れるようにファーストクラスのシートが用意され、到着後は運転手付きの車で食材の調達にまわる、と桁違いの待遇だ。残念ながら、母国である日本では住宅事情の違いもあり、同じスタイルは望むべくもない。正式な客ほど外でもてなそうとする日本では、出張料理という仕事は成立ちにくいのだ。
「でも、一人でも多くの人に私の料理を食べてもらいたいという気持は変わりません。ですから日本での活動は、6月にフォーシーズンズホテル丸の内 東京で行ったように、ホテルの厨房と組織を借りて、フェアのような形式での食事会をメインにしていきたいと思います。文化の違いですね」
「料理はひとつの作品です。そしてその作品でできるだけ多くの人を喜ばせたい」
そう語る狐野は、料理そのものに対する信念は変えることなく、状況に応じて柔軟に対応する。これもまた彼女が世界的に成功している一つの要因であるといえよう。




