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そうした数々の困難を経て得た名声。要人たちから切望される理由を狐野自身はどう考えるのか。

「まず一つには、レストランのシェフに比べて自由に動けることです。シェフであれば、出張できる日程は限られ、クライアントの要望に合わせられないこともあります。また、レストランに比べてクオリティが落ちる場合も多く、出張料理をやりたがらないシェフも多いのです」

「二つ目は時代のニーズに応じた“軽さ”ということでしょうか。あの手のマダムたちって、意外に流行に弱いんです。日本人だということも含め、私の料理の軽さが魅力のようです。よく言われるのが、『パーティの翌朝なのに、朝食がおいしくいただけた』ということ。ホストが軽やかな料理を用意するということは、招いたお客様に対して、時代に敏感なのよというアピールにもなるのでしょう」

「最後は信頼と安心感ということ。材料はすべて明細を提示しますから、いつどこで買ったものかわかりますし、調理をする過程も見られますから」

結果、パリはもちろんのこと、カナダやアメリカ、ヨーロッパの他国の富豪など、世界のセレブリティを相手に仕事をすることになったのである。

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