移築にかかった費用は500万円。木村さんも含めて多くの人たちの厚意によって、これくらいで済んだのだろう。
古い駅舎に入ってみると、懐かしい感じがした。待合室も改札口も、これまで何度も通った気がするほどだ。確かに、かつてはこんな駅が全国にたくさんあったのだろう。改札口を出てホームに立てば、目の前にレールはなく、ただ田舎の里山の風景が広がっていた。
駅の入り口側は花まつりの人出で賑わっていたが、ホームに当たる裏側に出ると、この駅舎の持つ心を締めつけられるような懐かしい雰囲気に包まれる。
田舎にある古い駅舎が、錚々たる建築物に伍して、登録有形文化財に指定されることの意味を考えさせられた1日だった。
裏のホーム側。スチールパイプ製の改札口が見える
[画像のクリックで拡大表示]
駅舎は憩いのスペースにもなっている
[画像のクリックで拡大表示]
樺島 弘文(かばしま・ひろふみ)
1956年、札幌市生まれ。専門紙記者、週刊誌記者を経て、1988年にプレジデント社に入社。ビジネス雑誌「プレジデント」の編集長や出版部長などを務め、2002年3月に退職。退社後すぐ、妻と息子の家族3人で都心から栃木県馬頭町へ移住し、田舎での暮らしをスタートさせた。現在は、家の畑を耕しながら、経営者やビジネスノウハウをテーマに、フリーで雑誌や単行本の執筆、編集の仕事を続けている。著書に「馬頭のカバちゃん」(日経BP社/1575円)、「会社を辞めて田舎へGO!」(飛鳥新社/1575円)。