厳しい冬の終わりを告げてくれる
もっとも、昔、梅の木を植えた人は、今の状態を予想していたわけではあるまい。梅干しや梅酒を作るとしても、高が知れている。やっぱり、梅が好きだったのだろう。
馬頭に住むようになって、なぜ私が梅を好きになったのか、ふと気が付いた。ここでは、梅の花は厳しい冬の終わりを教えてくれるからだ。
知らぬ間に、近所のどの梅の木が一番先に咲くか覚えていた。2月末くらいから、その梅の木の横を通るたびに、「まだかなー、まだかなー」と考えている自分がいる。
遠い杉の山の裾野に広がる梅林が、紅白に色づいてくると、寒さも一段落する。もう、春は間近だ。
きっと、梅の木を植えた人も、「梅に教えられる春」が好きだったに違いない。
同じ木に紅と白の両方の花がついている。地元では「思いのまま」と呼ばれている
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谷はまだ冬枯れの景色の中だが、梅の木だけが春を呼んでいる
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樺島 弘文(かばしま・ひろふみ)
1956年、札幌市生まれ。専門紙記者、週刊誌記者を経て、1988年にプレジデント社に入社。ビジネス雑誌「プレジデント」の編集長や出版部長などを務め、2002年3月に退職。退社後すぐ、妻と息子の家族3人で都心から栃木県馬頭町へ移住し、田舎での暮らしをスタートさせた。現在は、家の畑を耕しながら、経営者やビジネスノウハウをテーマに、フリーで雑誌や単行本の執筆、編集の仕事を続けている。著書に「馬頭のカバちゃん」(日経BP社/1575円)、「会社を辞めて田舎へGO!」(飛鳥新社/1575円)。