「カバシマさん、金肥(きんぴ)ではダメだかんね。本当にうまい野菜を作ろうと思ったら、やっぱり、たい肥を入れないと。味のコクが違ってくるから、金肥じゃダメ。土も柔らかくなんないしね。たい肥作んなさいよ。簡単だから」
そう近所のジイさまやバアさまに、何回説教されたことだろう。
金肥とは、お金で買う肥料のことだ。江戸時代には人糞、その後は魚肥(いわしなど)や油かす(菜種や大豆の搾りかす)などを指していた。今では、化学肥料といったところだ。私は化学肥料は使っていないが、それでもホームセンターで「完熟鶏糞」などを購入しているから金肥使用者ではある。
金肥ではダメ
近所のバアさまが、ハコベのはびこったわが家の畑を見て、「こりゃ、鶏糞を入れてるからだわな」と言っていた。鶏はエサとしてハコベを食べる。その中にハコベの種もあって、糞にそのまま出てきてしまう。すると、それが畑で芽を出すということらしい。近くには栄養たっぷりの鶏糞があるから、盛大に育つという具合だ。
たい肥のことは、畑を始めてからずーっと念頭にあった。野菜作りの入門書などでは、1メートル四方くらいの底面を持つ木枠を設けて、そこに枯れ葉や刈り草、土、油カスを積んでいく方法が書かれている。高さも1メートルくらいは必要で、月に1回くらい「切り返し」という、内容物を混ぜ合わせる重労働をしなければならない。たい肥の発酵を進めるために、空気を入れてやるのだ。




