「受験が終ったら、オヤジの自転車、組んでやっからよ」
年明けから息子はしばしば、こう口にしていた。2月下旬の大学受験まで、秋口から好きなロードバイクを封印していたので、ストレスがたまっていたのだろう。
初心者マークがポルシェに乗る
高校への通学もバスが多くなり、自転車に乗っても帰りだけ(行きは自転車を車に積んで途中まで運んだ)という日々が続いた。それでも、学校までは片道32キロほどあるので、普通の人からすれば「とんでもない」のかも知れない。
しかし、ロードバイクの選手を目指している息子にしてみれば、物足りないどころではなくて、「圧倒的な練習不足」という状態だった。受験が終れば、好きなだけロードバイクに乗って、好きなだけロードバイクをいじられる。それを楽しみにしている風だった。
おまけに、身長が伸びて、それまで乗っていた自転車が小さくなってしまったという事情もあった。その自転車は「タイム」というフランスのメーカーのもので、高校1年の終わり頃に買った。フレームだけで、30数万円という高級品。本気でロード競技をやりたいというので、思いっきり気合を入れて購入したものだ。
よく進む(自転車の世界ではこういう言い方をする)いいバイクだった。だが、予定外のことが起きた。当時より、息子の身長が7、8センチも伸びてしまったのだ。サイズが合わなければ、どんないい自転車でも辛くて乗れない。

息子の方がややスリムである。こうして一緒に走ることもあまりなくなる




