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わが家のすぐ裏にある山には、スギ林がある。土地の購入を決めたのは冬だったので、それで問題はなかった。

わが家も裏にスギ林を背負っている。今年は要注意だ

しかし、私の誤解、いやウソはすぐに露見してしまった。春になって、家の基礎のコンクリートを打つ時に、家族で馬頭に出向いた。基礎を作ってくれる土木屋さんは、いい年をしたオヤジさんとその娘さんの2人で作業をしていた。娘さんは20代だろう。なかなかの美人で、ニッカボッカに地下足袋を履き、コンクリートを打つための型枠を組み立てていた。堂に入った仕事ぶりである。

若い頃から父親の仕事を手伝ってきたという。既に結婚しているのだが、今日は忙しいので手伝いを頼まれたという。その娘さんが大きなマスクをしていた。風邪を引いているのに大変だなあと思っていたら、違っていた。「花粉症なんだわ」と言ってマスクを外すと、ご丁寧にも鼻の穴2つともに脱脂綿が詰めこまれていた。

「こうしておかないと、鼻水が垂れてきて、仕方ないんだわ」

「えっ、田舎には花粉症はないんでしょう?」

私の無防備な問いかけに、娘さんもオヤジさんも「なにバカなこと言ってんだ」という表情だった。

「田舎だって、花粉症くらいあるわよ。なんせ、スギだらけだから」

横にいた家内が「ほーれ、みたことか。この始末をどうつけてくれんのよ」という顔付きに変わった。当時、家内は田舎暮らしに大反対で、新しく建てる家も「別荘として使う」ことで、どうにか誤魔化していた。「移住など、とんでもない」という状態だった。

裏山の花粉をたわわに付けて赤色に染まったスギを見ながら、これで移住の障害がまた1つ増えたと暗い気持ちになったことを覚えている。

これがスギかと見まがうほど花粉で赤く染まっている

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