新旧の知恵

奥がご神木の千年杉
不思議な幸運は、これだけに限らなかった。大鳥居の左右の本柱を建て、上に横木を乗せる作業には、大型の10トンクレーンが必要だった。もちろん、事前に手配を済ませて、その時を迎えた。ところが、待てど暮せどクレーン車が来ない。業者に電話してみると、「日付けを間違えて、大型クレーンは車検に出してしまった」ということだった。
関係者は集まっているし、解体修理された本柱や横木は運び込まれている。窮した宮司は、すがる思いで鷲子山近くで工事をしている業者に電話を入れた。すると、その工事現場にはたまたま10トンクレーン車が入っていた。しかも、たまたまその業者の社長の息子が現場にいて、二つ返事でクレーン車を神社に出すことを決めてくれたのだ。
「いやー、1200年の事業を始めてから、恐いくらいだ」と宮司らしからぬ台詞を口にしていた。

11月第3土曜日曜に1200年奉祝祭が行われる
知らなかったが、これまで本柱は地中に埋まっていなかったそうだ。大鳥居は、ただ地上に立っていたことになる。大きな地震などなかったから良かったものの、これからは心配である。
ということで、今回の改修では1.5メートルほど地中に埋めることにした。しかし、木の柱を地中に埋めると腐る。困った宮司が伊勢神宮に相談したところ、銅板で巻いて埋めたらいいことが分かった。なぜ、銅板なのか。銅は錆びるとロクショウという毒を発生させる。このロクショウが虫を防いでくれるので、虫食いによる腐食を止められるのだ。
新しく鳥居に塗られる朱は、ドイツ製の染剤で、木が縮むと染剤も縮むという優れものだ。
新旧の知恵が相まって、1200年目の大改修は進んでいる。




