ある夜の飲み会で、町内の長老から「そう、馬頭に来て5年も経つの。じゃあ、樺島さん、おかちんは知ってる?」と聞かれた。
「おかちん」って誰だろう。そんな人、いたっけか?と一瞬面食らった。
長老は嬉しそうに、そうだろう知らないだろうとばかりに、「おかちんというのは、モチのことだよ」と教えてくれた。半信半疑の私は「モチって、食べるモチですか」と尋ねた。食べるモチではあるが、なぜそれが「おかちん」なのかは、長老もよく知らないと言う。

例年より1ヵ月くらい早くスイセンの花も咲き始めた
チンプンカンプンな「新語」
方言というか、その地域の言葉に慣れるのは大変だ。5年以上住んでいて、どうにか田舎暮らしの入門編はクリアしたかなと思っていると、こんな具合である。
それからは、飲み会にいたメンバーから次つぎと「新語」を試されることとなった。なまっているだけならば多少の勘も働くというものだが、初めて出会うような言葉は雲を掴むような話になる。
「ごうせにするって、分かっか?」
「ごうせい(豪勢)にすることじゃないですよね」
「ハッハッ、ごうせにするって、乱暴にすることだ」
「ごうせ」はもしかしたら「強勢」と書くのかも知れない。
こちらも、一応はモノを書いてメシを喰っている手前、連戦連敗は避けたい。
「ごじゃらくは、知ってるっしょ」
「ごじゃらく、ですか。なんとなく混ぜこぜのイメージがあるけど」
「惜しいけど違うわな。わけのわからないという意味だわ」
そういえば「ごぢゃっぺ」という言い方は聞いたことがある。でたらめという意味だ。確か、「ごぢゃっぺ言って、ダメだわ」のように使うと思う。言葉は意味が分かっても、使い方の方が難しい。肯定的雰囲気で使うのか、否定的雰囲気で使うのか、はたまたその両方で構わないのか。イントネーションも関係してくるので、移住5年生くらいでは、手に負えない。

丹精された春の花々




