秋の夜長という季節は過ぎてしまったが、今の時期、漆黒の闇のなかで寒さに身を引き締められながら時を過ごすのは悪くない。闇のなかにいると、思いは時空を超えて遥か古へと飛ぶ。夜の闇もない、季節感の薄い都会では味わえない醍醐味である。
夜祭りの儀式
わが家から5キロほど山を上った先にある鷲子山神社(とりのこさんしょうじんじゃ)では、毎年11月16日に夜祭りが執り行われる。来年には創建1200年を迎える歴史深い神社だ。栃木県と茨城県の県境に位置する霊峰で、標高470メートルにしては格別な寒さである。馬頭の町内は晴れていても、鷲子山だけ雪が降っていることもしばしばだ。

鷲子山神社の夜祭りは1200年の歴史を持つ神事
夜祭りは、日のとっぷりと暮れた夕方5時半から始まった。あたりは既に真っ暗で、風の音しか聞こえない。観客や取材者たちは、完全防寒の姿で神妙に宮司たちの執り行う神事に見入っている。
鷲子山開山以来の古儀だそうだが、秋の収穫を祝う新嘗祭(にいなめさい)の趣もある。本宮や本殿の脇で、寒風に吹きすさばれながら、古式にのっとった祈りの儀式が行われた。近くの神社の神職たちも手伝いにきている。




