那珂川町の小砂(こいさご)という山深い地区に、5年ほど前から住み着いた芸術家がいる。岡倉俊彦さんといって、画家の岡倉天心の甥っ子にあたる。

岡倉さんの家は雑木林のなかにある
広大な野外芸術スペースを作るのが夢
岡倉さんは現在65歳。以前は舞台演出などをしていたが、13年前に心筋梗塞で倒れた。入院中に絵を描き始めて、今では微笑み溢れる仏絵が人気となっている。那珂川町の施設や温泉の随所で、丸顔の仏様がニッコリと笑って感謝を捧げている絵に出会える。
那珂川町に移住してきてからは、1万5000平米にも及ぶ山林を借り受け、そこに「よろこびの森」を作り続けている。広葉樹林の自然を生かした形で、散策の小路を設け、ところどころに自作の彫刻や絵画を置いてある。まだまだ創造の途中であるが、広大な野外芸術スペースにすることが夢だそうだ。
私は岡倉さんとほぼ同時期に、那珂川町(当時は馬頭町)に移り住んだことになる。ところが、岡倉さんとなぜ馬頭に引っ越してきたのか、尋ねあったことがない。そんなことは話すまでもないのだ。2人とも、馬頭にぞっこんだったのである。いちど馬頭に来て、その豊かな自然と温かい人情味に触れれば、好きになった理由など話すだけヤボというものだろう。

岡倉さんの描く仏絵




