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田舎人の親切心

2005年10月27日

1カ月ほど前から新米が届き始めた。30キロ入りのコメ袋に玄米で入っている。わが家は納屋がないので、仕方なく私の仕事部屋に置いてある。パソコンの横に30キロのコメ袋が、3本も4本も立っているのは、壮観と言えば壮観である。これでも、手当てした量の半分くらいで、残りは農家で取り置いてもらっているのだ。

おいしい米に仕立てるコツ

30キロの玄米の入ったコメ袋を車に積み込んで、町のあちらこちらにあるコイン精米所に向かった。2坪ほどの広さに自動精米機が設置されていて、10キロ100円で精米できる。30キロでも、4、5分あれば終わる。

新米の時期になると特に混むコイン精米所は、町のあちこちにある

この時期は、各家とも新米が入るので、普段使っているコンビニ横のコイン精米所もいつになく混んでいた。しばらく順番を待って、精米し、帰ろうと思ったら、見知らぬオジサンに声をかけられた。

「精米できたかい。それ、家に帰ったら、一回さますといいから。味が全然違うさ」

精米すると摩擦熱の関係なのかコメが温められる。昔ながらの手動式の精米機で時間をかけてやれば、そんなに温度は上がらないのだが、なにぶん自動精米機だから早い分だけ温度も上がってしまう。

おいしいコメに仕立てるには、精米する時にできるだけ温度を上げないのがコツなのだそうだ。そういえば、他のコイン精米所には「低温精米」なんて表示しているところもある。

そのオジサンが言うには、精米したコメをビニールシートか何かの上に広げて、1、2時間ほど風に当たるのがいいのだそうだ。

「そうしたら、本当はホームセンターあたりで、保管用のガス買ってきて入れておくと、もっといい。でも、密封の袋は高いかんな」

たぶん、私のコメ袋の運び方を見て、ド素人と分かったのだろう。農家の人たちは、たいして力も入れてない様子で、30キロを軽々と扱うが、私は力任せに持ち上げたり運んだりしてしまう。

オジサンは、素人相手にひとしきりコメの保存法を説明すると、「まあ、おいしいコメ、食べてくれや」と言って、どこかへ去ってしまった。

小さな親切で気持ちのいい毎日が

こうした親切には、たびたび出会う。そのコイン精米所横にあるコンビニでは、最近、こんなことがあった。

ある支払いの振込みをしようと、振込用紙と現金を店員に渡したところ、その店員さんはレジで振込みの手続きをした後も、じっと用紙を眺めていた。何か手違いでもあったのかと、少し心配になった。すると店員さんは背を向けて、カウンターの奥に行き、小さなビニール袋を持ってきた。

「これ、この前、忘れたと思うんですが」

手渡されたビニール袋には、使いかけのガムテープが入っていた。たぶん、しばらく前に家内が宅急便を出した時に使って、そのまま忘れてきたものらしい。その店員さんは、宅急便の送り状にあった名前を覚えていて、今回の振込用紙の名前から気が付いてくれたようだ。

たかがガムテープと言うことなかれ。こんな小さな親切ひとつで、私はその日一日中、機嫌が良かった。

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