残暑が厳しかったある日の夕方、産廃処分場反対運動で知り合った穴山郁夫さんが、わが家を訪ねてきてくれた。穴山さんは50歳すぎで、馬頭町の小口地区に住んでいる。
今年の夏は、穴山さんからキュウリ、ピーマン、ミニトマト、メロンなどの苗を頂き、わが家の菜園の陣容は一挙に充実した。もっとも、農薬を使わないので、メロンの苗などはすぐさま虫にやられて、枯れてしまった。

幻想的で妖しい雰囲気を醸し出す「チョウトンボ」
写真/穴山郁夫
ひらひら舞う「チョウトンボ」とは?
初めて植えたピーマンは8月後半から盛大に実を成らせ、わずか3本の苗でも毎日20個ほど獲れた。とても家族3人では食べ切れないので、珍しくご近所にもお裾分けした。
肉厚で、苦味が全くない。生のまま細切りにして、醤油とゴマ油を少々、さらに白ゴマを振って、サラダ代わりに食べると、これが抜群に美味しい。1人で2、3個分のピーマンをほお張ることになった。
その日訪れた穴山さんが「チョウトンボって、知ってっかね〜」と尋ねてきた。「えっ、何それ、知らない、知らない、見たことも聞いたこともないよ」と答えると、「いま写真、持ってっから」と言って、車から取ってきてくれた。
写真を見て、驚いた。トンボはトンボだが、羽の面積が広く、確かにチョウのように見える。実物は黒っぽいらしいのだが、光線の加減で紫色に輝いている。なにやら幻想的な雰囲気もあって、妖しい感じを醸し出している。私は実物を見ていないが、チョウのように、ヒラヒラと飛ぶのだという。目の前を横切られると、トンボとは思わず、「変わったチョウだ」と思うことだろう。

ひらひらと蝶のように舞うチョウトンボ(左)、光線の加減で紫色に輝くが、実物は黒っぽい(右)
写真/穴山郁夫
チョウトンボのことを、穴山さんは知り合いの専門家からその姿形を聞かされ、「とても珍しいものだ」と教えられたらしい。ところが、「そんなトンボなら、いくらでもいるなぁ」と思い立ち、写真を撮りに出かけたという。
産廃処分場の予定地になっている備中沢(びっちゅうざわ)の近くで、チョウトンボが群れ飛んでいるのを発見して、数時間粘って写真におさめた。
穴山さんは、自然の花や昆虫の写真を撮ることを趣味にしている。備中沢にもカメラをぶら下げて出かけ、貴重な動植物の写真を撮り続けている。




