田舎暮らしを始めるに当って、わが家の最大の難関は「家内の猛反対」だった。思い起こせば、4年前のちょうど今頃、馬頭に現在の家を建て、初めての夏休みを過ごしていた。田舎に家を建てることを渋る家内に、「別荘だから、セカンドハウスで休みに使うんだから」と、やっと説得してのことだった。
都会の友達との付き合いは?
家ができて、時々遊びに来るようになると、家内も豊かな自然の中で暮すことの気持ち良さは十分に感じているようだった。それでも、移住となると「絶対にイヤ」という姿勢を崩さなかった。収入の問題もある。子どもの教育の問題もある。何より、それまで東京で築いていた人間関係や趣味を捨てることに抵抗が強かった。
わが家は、私が「深夜帰宅族」というか「早朝帰宅族」だったために、ほぼ母子家庭と化していたので、夕食などはいつもご近所の家族が1、2組は一緒になって食べていた。ほとんど、家族同然である。こうした人たちと別れるのは辛いし、お互いに生活を助け合っていた部分もあって、かなり心苦しそうだった。
趣味のテニスやヨーガも、田舎に行けばこれまでのように頻繁にはできそうもなかった。もちろん、趣味を通じて知り合った友だちとも疎遠になるのは嫌だったろう。
ともかく、息子と二人で何とか押し切って移住してきたものの、「冗談じゃないわ」と公言してはばからなかった。
あれから3年半──。
「どうだ、田舎もいいもんだろう」と聞くと、家内からは相変わらず「冗談じゃないわよ。宝くじが当ったら、東京にマンションを買って戻るんだから」とふてくされ気味の答えが返ってくる。それでも、家内の様子を見ると満更でもなさそうな様子が窺える。
東京時代にご近所付合いしていた家族の人たちとも年に何回は再会できているし、東京のヨーガ教室にも月1回くらいは通っている。テニスも年1回ながら、合宿には参加している。
田舎に来たからといって、都会の人間関係が消えるわけではない。もちろん昔のように濃密な関係は持てないが、無理のない範囲で関係を持ち続けることは可能だし、それがまた楽しみにもなる。
では、圧倒的に多くの時間を過す田舎ではどうか。これまた家内は何やかんや言いながら、楽しみを見つけ出している。

左:絵のように額縁におさめた押し花。「押す」花は近所で摘んだ山野草。
右:押し花を行灯にあしらうと風流な雰囲気をかもちだす。




