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田舎暮らしの志望者たち

2005年7月28日

一週間ほど前、ちょっと用事があって半日ほど、馬頭を空けた。夕方、自宅に戻ってみると、家内が興奮気味に「リンカーンが来た! リンカーンが来た!」と騒ぎ立てている。さて、そんなアメリカ人に覚えはないが……と思ったら、なんのことはない車のリンカーンだった。

突然やってくる都会からの来訪者

いや、なんのことはなくない。リンカーンナビゲーターは排気量5500ccというバカでかい4WDのレジャーヴィークルで、車幅が2.1メートルもある。田舎の生活で、ランドクルーザーやパジェロを見慣れた家内も流石に息を飲んだらしい。

県道からわが家の庭に下りてくる坂道は、幅2.5メートルしかない。しかも、カーブしている。だいたい県道といっても、幅3メートルくらいしかないのである。よく、入ってきたものだ。

わが家の前の坂道は幅2.5メートル。こんな細い道をリンカーンが?!

「落ちるんじゃないかとドキドキしたわ」と家内は話していた。運転席から降りてきたのは、サングラスをかけたコワモテ風の全く知らない人物だった。家内は「ヤバイかも」と少しビビリながらも、「もしかして、またかな」とも思ったそうだ。

実は、こうした見ず知らずの突然の来訪者が、わが家には度々やってくるのだ。昨年の秋に、『会社を辞めて 田舎へGO!』(飛鳥新社)という、移住1年目の顛末を記した本を出版したところ、それを読んでくれた人たちからお便りや電話をたくさん頂いた。なにせ、手紙は「栃木県馬頭町 樺島弘文」で届いてしまうのだ。

手紙や電話だけでなく、直接わが家を訪ねてくる読者が何人もいて、驚いた。本には、地名や家の周りの様子も書いたので、訪ねて来ようと思えば、できなくはない。近くの神社で、場所をしっかり確認してくる方もいる。とても満足な応対などできず、心苦しく思っている。

リンカーンに乗ってきたサングラスの人物も、入院中に私の本を読んで、「一体、どんなところに住んでいるんだろう」と訪ねてきたらしい。なぜか、今夏は上手くいかないナスやキュウリを見て、「畑が荒れてるなあ」とつぶやいて、帰っていったそうだ。

ほかにも、近くに車を止めて、しばらくこちらをジッと見つめていて、やにわに私の本を掲げながら「これ読んだんです。サインしてくれるかな」とやって来た人もいる。

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