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第42回 変わる「指定代理請求制度」

2008年9月17日

保険金の請求は、一般に、被保険者(保険を掛けている人)が行うように決められているのが一般的です。ところが、被保険者が保険金を請求できない状態になることは意外と多いものです。たとえば、被保険者本人が、病気や事故で昏睡状態・寝たきり状態になって意思表示ができなくなると、保険金請求をすることはまずできません。

あるいは、被保険者ががんなどの場合、本人が医師から告知されていなければ、例え保険金を受け取るための要件が整っていたとしても、本人がそれを知らないのですから保険金請求の機会を逃すことも有り得ます。具体的には、余命6カ月以内であれば死亡保険金を前倒しで受け取れるしくみのリビングニーズ保険金や、がん罹患時に受け取れるがん保険・特定疾病保険などの保険金などを請求できないわけですから、これらの保険金を治療費に充てるという当初の計画は意味のないものになってしまいます。

こんな事態に備えるには、「指定代理請求制度」の活用が有効です。これは、被保険者が保険金を請求できない特別な事情にあるときに、被保険者に代わり、指定した代理請求人が保険金請求できるという制度です。

指定代理請求人の指定の仕方は、とても簡単です。これから保険契約する場合は、保険契約申込書を書く際に、死亡時の受取人欄のすぐ近くにある「指定代理請求人指定欄」に記入するだけでOK。既加入の保険契約に指定代理請求人を指定したい場合は、保険証券と届出印を用意して、担当者に連絡すれば必要な手続きを手配してくれます。なお、契約者と被保険者が異なる場合は、所定の書類に被保険者の署名・押印が求められるのが一般的です。

指定代理請求制度を付けるための特約料は無料で、付けないともったいないわけですが、知らないまま付け忘れとなった契約が過去において散見されています。1992年に登場した特約で、古い保険契約では付いていない可能性も高いため、一度保険証券を確認しておくことをお勧めします。

また、保険会社によって導入・未導入の状況が様々で、付けられる保険の種類やその内容もまちまちな現状があります。例えば、指定代理請求人として指定できる人の範囲が各社で異なります。被保険者から見た、指定代理請求できる範囲としては、(1)戸籍上の配偶者、(2)直系血族、(3)兄弟姉妹、(4)3親等以内の親族、のおおむね4つのうちで定められています。しかし、これらの要件に、“同居もしくは同一生計であること”を求めるかどうかに各社でバラツキが出てきています。

この部分の差というのは意外と大きいもので、例えば、両親が既に他界していて別生計の兄弟姉妹などのケースでは、同居もしくは同一生計であることが要件に入っていると、代理請求人を指定できないという問題が生じていました。しかし、同居もしくは同一生計であることを求めない保険会社なら、こうしたケースでも指定できることになります。家族構成なども鑑みて、ご家庭にあった制度のところを選択することも大切です。

なお、指定代理請求制度を活用する際に忘れてはならないのが、指定した配偶者などに、その事実をちゃんと説明しておくことです。保険契約の存在自体を知らないといった事態も避けたいところです。また、指定代理請求人は原則として1名の指定となっていますので、指定代理請求人が死亡したり、離婚した場合には、変更の連絡を忘れずに。

竹下 さくら(たけした・さくら)

CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学で保険学のゼミを専攻し、損保・生保の本店業務部門を経て独立系FPに。ライフプランをベースにしたコンサルティングのかたわら、講師・執筆活動等を行う。

http://blog.livedoor.jp/office_takeshita/

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