「わからないものには手を出さない」──これは自己責任時代の資産運用の鉄則ですが、保険も同じで、これから契約するなら、よく理解できていない保障内容の保険は避けるのが賢明です。
ただ、素人の契約者にとって保険はとても複雑で難しいものです。今までオマカセで契約してきた保険について、約款を読むなど自分で保障内容を理解して請求をする、ということは中々にたいへんです。また、営業職員から説明を受けた時はよく分かったつもりでも、後になってその記憶が風化することもよくあることです。
従って、今すでに保険に入ってしまっている人は、まさかの事態になった際にこの保険でお金が受け取れるかどうかを、保険会社に教えてもらうというのが応急措置になります。尋ねるポイントは、「死亡した」「障害状態になった」「入院した」「通院した」「手術した」「ある病気・所定状態に診断された」「先進医療を受けた」というキーワード。保険契約で受け取る保険金・給付金の多くは、おおむねこの7つの理由で支払われます。例えば、「がんで夫が亡くなりました」と伝えるのではなく、「夫ががんで倒れ、救急車で病院に運ばれて手術し、入院しましたが、翌日亡くなりました」というように“何で、どうしたか”を前述のキーワードを交えて伝えると、それに合う主契約や特約の中から支払えるものを調べてくれます。
「こんなに不払問題を起こしている保険会社は信じられない」という思いの人もいるかもしれませんが、金融庁の監督のもと、いろいろ反省し改善策を検討している状況なので、最近は不払再発を防ぐべくちゃんと応対してきます。保険金が支払われる可能性があるのに気づかなかったり、保険金請求のアプローチを積極的にしてこなかったという事例が、保険金不払件数の大半を占めています(前回参照)ので、上記のような事前の友好的なやりとりで対応可能と考えます。それでもちゃんと対応してくれるか信じられないという方は、貯蓄に切り替えるなど、信じられない相手(保険)に頼らずに済む方法を模索したほうがいいかもしれません。
保険金を請求したのに、理由を作って保険金を支払ってくれなかったという悪質なケースが保険金不払件数に占める割合は、ごくわずかです。告知義務違反を理由にするものが多いので、争点ははっきりしています。支払わないと言われたら、国民生活センターなどに相談したり裁判や調停に持ち込むことになりますが、ハードなケースにもつれ込む可能性大です。このときこそ約款などを熟読して保障内容を理解し、しっかり食い下がる姿勢が大切です。もちろん、その前に、契約時の告知書の記入は最新の注意を払って行い、正しく告知することが大前提になります。
さて、保険金不払い対策の話では、保障内容をよく理解しよう、とよく言われます。けれども、本人で保障内容の整理表を作るのにも限界がありますし、たとえ本人が理解していても、家族が理解していなければ請求できないケースもあるのが保険です。妻や子どもが、どこに保険証券があるか、あるいはどこの保険会社で契約しているかが分かるようにすることがまず大事。試しに下のチェックシートに印を付けてみて、ご自身の管理状況を把握してみましょう。ずっと保険料を払ってきた保険のことを家族が知らなくて、時効にかかって保険証券が紙くずになってしまう──という事態を回避することも、大切な保険金不払い対策なのです。





