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第39回 保険金不払い問題を整理する

2008年7月16日

今月、生保10社にまたもや業務改善命令が出ました。保険金不払い問題に関しては、これまで生保数社に対して、何度か業務改善命令が出されていましたが、10社一斉というのは異例の処置。正直なところ“なかなか出口が見えない”感がぬぐえなかった保険金不払い問題ですが、一定の区切りを付けたいという金融庁の気迫が伝わります。ここで、これまでの経緯と概要をざっくりと把握しておきましょう。

まず、生保1社、損保1社で「不当な支払い」があったと判明したのが2005年2月でした。当初はその2社だけの問題かと思われていたものの、その後、業界全体規模での「支払い漏れ」などが発覚。各社の調査結果を受けて、金融庁が不十分と判断して再調査命令を出し、業務停止命令・業務改善命令発動といったルーチンが、以後3年半に渡り繰り返されてきたというのが大きな流れです。

さて、「保険金不払い問題」と一つにくくられて取り上げられてきた問題には、実は3種類の事案が混在しています。一つには「不当な支払い」、そして「支払い漏れ」、「請求案内漏れ」です。「不当な支払い」は、保険金を意図的に支払わないことで、問題化の当初に大きく注目されていた事案です。告知義務に違反しているという理由を使って、因果関係のない保険金支払いについても拒否をしたといった例があります。ちなみに、今回の業務改善命令の要因になった直近の調査では、「不当な支払い」に該当する新たな事例は見つかっていません。

続いて「支払い漏れ」は、コンピューターシステムの不備や社員・代理店に対する教育の不足から、当然支払うべき保険金を支払い漏れしていたという、損保に多い事案です。主契約の保険金を支払う際に、関連する特約について保険金請求が無かったために、そのまま主契約部分の保険金だけ支払っていた、といった例が大多数です。

そして「請求案内漏れ」は、医療保険など、第3分野と呼ばれる人の体に関わる保険で特に多く、保険金不払い事件の大半の件数を占める事案です。入院給付金の請求があった際に、通院給付金についての請求の可能性について案内せず支払いが漏れたといった例があります。

一般に保険は、国の公的年金などと同様に、“請求しない限り保険金が支払わない”しくみです。「支払い漏れ」「請求案内漏れ」も、保険会社の立場からすれば従来はそれほど意識するものではなかったのかもしれません。しかし、契約者保護の時代となった現在、放置できなくなったというのが今の流れと思われます。

生保では特約を整理したり、約款や契約書類もリニューアル。支払い漏れを防ぐ監視システムを構築するなどの再発防止策を行ってきました。しかし、昨年12月までに出された実態調査報告で明らかになった不払い件数・金額があまりにも大きいことから、行政の監視はまだ必要と判断。信頼回復を目指しながら、顧客保護の徹底を図ることになったのが今回業務改善命令が出された経緯です。

次回は、保険金不払いに備える保険の入り方について確認します。

竹下 さくら(たけした・さくら)

CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学で保険学のゼミを専攻し、損保・生保の本店業務部門を経て独立系FPに。ライフプランをベースにしたコンサルティングのかたわら、講師・執筆活動等を行う。

http://blog.livedoor.jp/office_takeshita/

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