交通事故の際にお世話になる「自賠責保険」。示談や治療が長引いたり、加害者から連絡が来なかったり、刑事裁判がもつれて長引くといったケースでは、月日はどんどん過ぎていきます。そんなときに気になってくるのが「時効」です。
自賠責保険に関する「時効」は、2年。ただし、保険金を請求するのが“加害者”なのか、あるいは“被害者”かによって、時効の起算日が異なります。
- 加害者請求の場合は、被害者に賠償金を払ってから2年(商法663条)。
- 被害者請求の場合は、事故があった日から2年。ただし、死亡事故の場合は死亡日から、後遺障害事故の場合は症状固定から、それぞれ2年(自賠法第19条)。
- ひき逃げや無保険車の事故の際には政府保障事業へ請求できますが、この場合は、事故があった日から2年(自賠法第75条)。
なお、自賠責保険への保険金請求権と、交通事故による損害賠償そのものを請求する権利(損害賠償請求権)の時効は異なっています。民法724条の規定によれば「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」となっていますので、通常は事故のときから3年です。ひき逃げに遭って犯人が捕まったのは5年後だったというようなケースでは、20年までの規定が適用されて犯人逮捕時に損害賠償請求権を使うことができます。
さて、交通事故関連の「時効」を考えるにあたっては、時効の“中断”に関する知識も重要です。「時効」を迎えて泣く泣く保険金請求権を消滅させてしまうことは、特に被害者は避けたいところです。交渉が長引いた場合などでは「時効中断申請書(用紙は保険会社にあります)」という書類を加害者側の保険会社に提出し、承認をもらうことによって時効を中断することができますので覚えておくと安心です。
また、自賠責保険では被害者救済の視点から、被害者が加害者の加入している契約保険会社に直接保険金を請求する手続きが“被害者請求”として認められています。たとえば、当座の費用に充てるためのお金を請求し仮渡金を受け取ると「時効」は中断され、その時点が新たな起算日になります。ただし、政府保障事業制度には「時効」の中断手続きはありませんので留意が必要です。
最後に。加害者が任意の自動車保険(対人賠償責任保険)に契約している場合では、その保険会社が窓口になって自賠責保険部分もまとめて対応する「一括払制度」が広く活用されています。任意の自動車保険の「時効」は自賠責保険とは異なっていますので、次回取り上げます。




