(取材・文=有賀祐子 写真=村田和聡)
クラシックカメラがブームだ。以前から根強い人気を誇っていたが、最近は新しく始める人も増えており、幅広い年代から支持を集めている。銀座教会堂ビル8階にある老舗カメラ店のレモン社は、クラシックカメラを求める多くの人で毎日にぎわっている。クラシックカメラの魅力、お薦めのカメラ機種について、レモン社の佐久間俊夫氏に話を聞いた。
デジタル全盛の今だからこそ際立つ、アナログの魅力
クラシックカメラの魅力とは、機械としての手触りと同時に、仕上がった作品はデジタルカメラにはないフィルム独特の質感を出せる点です。たとえば、遠くの被写体や建造物などを撮影した場合に、一般的なデジタルカメラより自然な遠近感や立体感、質感を表現することができます。デジタルカメラは、目覚しい進歩により非常に高い画素数の鮮明な画像になっているとはいえ、場合によっては、被写体の細部の表現にどうしても多少不自然さが出てしまうこともあります。また、フィルムと比べると色彩が鮮やか、別な言い方をすれば派手に出る場合が有り、好き嫌いが出てくるかもしれません。
デジタルカメラで撮影したデータはパソコンからプリントアウトしますが、デジタルカメラの液晶モニターと、パソコンのモニター画面上とプリントアウトしたもの、あるいはモニターやプリンターによっても、再現された色は異なる場合があり、なにを基準にするかは難しい作業です。フィルムカメラなら、カメラ店に持って行くだけで現像してくれますし、色合いについて注文を出すこともできます。
カメラ店にフィルムを出し、現像されてきた写真を見ながらあれこれ会話する楽しみも、フィルムカメラならではのものです。以前は、こういった会話が家族の大切なコミュニケーションになっていたのではないでしょうか。デジタルカメラの場合、カメラ本体の液晶モニターかパソコンの画面上で撮影データを確認するので、家族みんなでワイワイ言いながら見るという感じではありませんよね。
1950年代や60年代のクラシックカーが現在でも独特の人気を誇っているように、クラシックカメラのフォルムも人気の一因だと思います。いかにも機械的な、角張った形です。また、金属製のクラシックカメラの質感は、現代に多いプラスチック製品のそれとは明らかに違う、独特の味わいがあります。
デジタル化するということは、失敗する可能性をどんどん減らしていくということです。たとえば車では、カーナビが付き地図を見る必要がなくなりました。地図を見間違えて道に迷う可能性は確かに少なくなりましたが、もしかすると、間違えた道で思いがけない発見があるかもしれない。この思いがけないハプニング、意外な楽しみこそが、アナログの魅力です。










