ファミリーが“撤退”した都心の新たな顧客は?
東京都心部では新築マンション価格の上昇が鮮明になってきており、1年ほど前まで盛んに喧伝されていた「都心回帰」の流れは完全にせき止められてしまったかのようです。むしろ今では価格高騰が蔓延した都心部を離れて、近郊部から郊外部へと購入エリアを広げる「都心回避」へと方向が逆転している様相さえ見られます。
とはいえ、都心部でのマンション供給がストップしたわけではありません。一時期は売り出し価格を高値方向に調整するため、「売り渋り」との指摘が出るほど物件供給が減少しましたが、ここへきて徐々に回復しつつあるようです。今年1月は季節要因もあって供給ダウンとなったものの、着工戸数の大きな落ち込みは見られず、今後もコンスタントな供給が続くとみられます。

供給側にとって問題は、都心部のマンションを誰に売るかです。都心部でもファミリー向け物件の供給が盛んだった時期は、4人で住める広ささえ確保すれば都心という立地だけで売れました。ところが今やファミリー層は都心部から“撤退”しています。新たな顧客層をターゲットとしなければ、都心部でのマンション事業を成功させることは難しくなっているのです。
小家族向けのコンパクトタワー物件が登場
そんななか、都心部では新たなターゲットを明確に打ち出した物件の供給が増えています。そのひとつが、1人〜2人の少人数世帯を対象とするコンパクトマンションです。現在、新宿区で分譲中の「新宿山吹アインスタワー」(藤和不動産)は、全174戸のすべてをコンパクト化するという新しいコンセプトを打ち出しています。
タワーマンションというと従来は、中低層部分にこそ50㎡前後のコンパクト住戸を用意しているものの、高層部分は面積が広めになり、最上階は100㎡を超える大型住戸を配置するケースが多く見られました。多くの住戸バリエーションを用意することで、多数の住戸を確実に売っていこうという戦略です。
しかし70〜80㎡台の広さを求めるファミリー層が減っているのですから、いっそすべての住戸をコンパクト化して顧客を絞り込んだほうが合理的と言えるかもしれません。同マンションでは特に、女性客を意識した設備仕様となっています。




