聞いても理解が難しい重要な事項
マンションに限らず住宅を購入するときには、売買契約に先立って不動産会社による重要事項説明が行われます。文字通り契約にあたって知っておくべき重要な内容を説明するもので、宅地建物取引主任者の有資格者が書面(重要事項説明書)を買主に交付して説明する決まりです。
重要事項説明書の最後には「確かに説明を受けました」という意味で買主が署名・捺印する欄が設けられています。ただし、ここに押印したからといって契約しなければならないわけではなく、もちろん契約が成立したわけでもありません。重要事項説明を受けたうえで、十分に納得してから改めて契約を交わすのが正しい段取りです。
契約にいたる上で大きな意味を持つ重要事項説明ですが、実態はどうかというと、ともすれば形式的な手続きに終始してしまいがちなようです。その理由としては説明される内容や用語がやや専門的なため、不動産取引に慣れていない一般の買主には理解が難しいことが挙げられるでしょう。説明される項目が180以上におよぶことも、「とても把握しきれない」と買主から敬遠される一因となっているようです。
特に新築マンションの場合、一度に多くの買主を集めて「契約会」を開くケースが一般的です。重要事項説明も契約の直前に一人の宅地建物取引主任者が大勢の買主に対してレクチャーする形になるので、買主のなかには少しぐらい分からない点があっても質問するのがためらわれる人も少なくないでしょう。不動産会社も買主も、「契約前の儀式みたいなもの」といった意識に陥りがちな面は否めません。
契約の直前に説明する業者が6割以上
重要事項説明のこうした実態を問題視した国土交通省では、有識者や業界関係者などで構成される検討委員会を設置して手続きの合理化について検討を行いました。委員会では不動産会社や消費者を対象としたアンケート調査結果が明らかにされています。
まず不動産会社へのアンケートで重要事項説明を行っている時期を訪ねたところ、最も多いのは「契約の直前」で6割を超えました。「契約の1週間以上前」と答えたのはわずか3.6%に過ぎません。説明を受けた買主が契約までの間に「本当に買っていい住宅か」をじっくり考える時間はさほど確保できていないのが実態です。

重要事項説明と契約との間隔が短いのであれば、せめて書面だけでも契約の前に交付すれば買主が熟読して不明点を明らかにすることが可能になります。その疑問点を説明の当日などに質問すれば、理解を深めることができるでしょう。
この点についてもアンケートで尋ねたところ、説明の前に書面を交付しているのは6割弱で、4割以上は交付していないことが判明しました。さらに説明日のどれくらい前に交付しているかを聞くと、「1週間以上前」は2割強に過ぎず、半数は「3日前~1週間前」と回答しています。3日前と1週間前とどちらが多いのかは分かりませんが、3~4日で十分に書面を読み込めるかどうかは疑問が残るところです。





