売主に義務づけられている10年間の瑕疵担保責任
マンション耐震偽装を防止するための対策として、国では建築確認時の検査体制強化や建築士制度の見直しに向けた法改正作業を進めています。それでもいまだに安全宣言を出せない理由として、残された大きな課題があることも挙げられるでしょう。その課題とは、売主が瑕疵担保責任を確実に履行するための体制を整えることです。
平成12年に施行された住宅品質確保促進法(品確法)により、すべての新築住宅に基本構造部分の10年間の瑕疵担保責任が義務づけられました。10年以内に柱や壁などに重大な瑕疵(欠陥)が見つかった場合には、売主は無償で修理するなどの責任を果たさなければなりません。
しかし先の耐震偽装事件では、売主が瑕疵担保責任を果たせないまま倒産したため、買主が二重のローンを背負ってマンションを建て替えざるを得ないなど、被害が拡大してしまいました。そのため保険制度の利用などを売主に義務づけ、10年間の瑕疵担保責任を確実に履行できるようにすべきとの議論が高まったのです。
現行の保険制度の利用率は1.2%に過ぎない
売主の瑕疵担保責任を補強するために、現行でも保険制度が用意されています。最大手は財団法人住宅保証機構が運営する住宅性能保証制度ですが、民間の保証会社もいくつか存在します。制度の内容はどこも似たようなもので、10年間の保証期間中は売主が負担した修理費用の8割程度が保険でまかなわれます。もし売主が倒産していたら、費用の95%が買主に直接支払われる仕組みです。保証機構や保証会社では保険を付けるための条件として、工事中の現場検査などを行っています。
住宅保証機構の制度は25年以上の歴史があり、平成18年11月末までで一戸建て・マンション(共同住宅)合わせて115万戸余りの住宅が利用しています。ただ、その大半は一戸建てで、共同住宅は5.3万戸強に過ぎません。それでも国土交通省によると、「耐震偽装事件を受けて、制度を利用するマンションが増えている」(住宅生産課)とのことです。
たしかに住宅保証機構の年度ごとのデータを見ると、平成17年度以降、利用戸数(住宅登録戸数)に占める共同住宅の比率がアップしています。18年度は今のところ1割を超えており、これまでにない高さです。しかし一戸建ての利用戸数が伸び悩んでいることもあり、共同住宅の絶対数が急増しているわけではありません。民間も含めた国交省のデータによると、17年度での共同住宅の着工戸数に占める保険制度の利用率はわずか1.2%だそうです。瑕疵担保責任を補強するための仕組みは保険制度だけではないとはいえ、今のままではいかにも貧弱な制度と言わざるを得ません。





