潜在ニーズは強いリタイア後の住み替え
マンション市場のメインターゲットは相変わらず1次取得層と呼ばれる30歳前半を中心とする若いファミリー世帯です。ちょうど団塊ジュニアがこの住宅購入適齢期の真っ只中にいるため、今後数年はマンション市場も活況が続くと見られています。
その一方で、団塊ジュニアの親の世代である団塊世代をはじめとしたシニア層にも、マンション業界では熱い視線を注いでいます。2007年から60歳の定年退職を迎えることから、少なからぬ数の団塊世代がマンションを購入することが期待されているからです。郊外の広い一戸建てを売って駅の近くや都心の少人数世帯向けマンションに買い換えたり、逆に都市部から郊外やリゾート地に移り住んで田舎暮らしを実現したり、といった動きが活発化するだろうと予測する向きも少なくありません。
ただ、団塊世代を対象とした各種のアンケート調査を見ると、必ずしも住み替え志向が強いとはいえない実態が浮かび上がってきます。例えば2005年8月に野村総合研究所が行った「団塊世代セカンドライフに関するアンケート調査」によると、60歳を過ぎてからの人生でやってみたいこと(複数回答)のダントツ1位は「国内外への旅行」で68.4%。次いで「自然散策、ハイキング、まち歩き」(38.8%)、「ボランティア活動」(26.8%)の順です。住み替え関連では「田舎暮らし、田舎と都会の行き来」が23.2%でした。
また、25歳以上の男女を対象とした東急住生活研究所の「住生活1000人調査2006」によると、5年以内に住宅を「新しく購入する」と答えた人は55〜59歳で5.9%、60歳以上で10.5%などと、20%前後の30代や40代と比べて低い割合です。代わりに「増改築やリフォーム」との回答が55〜59歳で16.5%、60歳以上で31.6%と増えていきます。ただ、リタイア後希望する住まい方としては、「都会と自然の豊かな地域などを行き来する複数地域居住」が全体で38.4%、「駅に近い便利なマンションに移り住みたい」が同35.7%などと高く、潜在的には住み替えやセカンドハウスなどのニーズは強いようです。

同一エリア内での住み替えに対応した物件も増加
シニア層の住み替えに対する潜在的なニーズを掘り起こそうと、マンションデベロッパーも知恵を絞っています。通常のファミリータイプである3LDKの間取りをそろえるのではなく、リビングや個室を広くした1LDKや2LDKタイプを増やしたり、高級感のある落ち着いた内装仕様にするといったケースが典型的です。夫婦2人や単身といった少人数世帯の暮らしをサポートするため、ミールサービスやフロントサービスなどを付加するマンションも増えてきました。
こうしたシニア層を意識したマンションはこれまではどちらかというと都心部での供給が中心でしたが、最近は都心近郊や郊外のエリアでも見られるようになっています。それらの多くは最寄り駅までの距離が短く、生活利便性の高い場所に立地しています。同じ駅や沿線のエリアで駅から離れた一戸建てに住むシニア層をターゲットに、住み慣れた地域でより便利なマンションに住み替えてもらおうというわけです。




