マンション内で子どもが犯罪や事故に巻き込まれるケースが増えています。つい先日もエレベーター事故で高校生が犠牲になってしまいました。メーカー、保守会社、マンション管理者それぞれの責任が問われるところですが、問題の根本は「エレベーターを安全に運行する」という1点に尽きるでしょう。
住宅の防犯性能が表示できるようになった
しかし犯罪への対応となると、相手が人間だけにやっかいな問題が多くなります。最近の分譲マンションは防犯対策に力を入れる物件が目立ち、生体認証やICカードなどの“ハイテク武装”を施す例も見られますが、実際の効果のほどは必ずしも明確ではありません。犯罪が起きにくいマンションを選ぶにはどうすればいいのか、子どものいる世帯ならずとも気になるところです。
そこで住宅の防犯性能を測るひとつの指標として、国土交通省では今年4月から住宅性能表示制度に「防犯に関すること」の項目を追加しました。マンションの場合は「建物出入口の存する階(通常は1階)」とそれ以外の階に分け、住戸の玄関ドアや窓サッシなどの開口部に「防犯建物部品」を使用しているかどうかを表示するというものです。
この防犯建物部品とは、国やメーカー団体などで構成する「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が、試験により犯人の侵入を5分以上くい止められると認められたドアやサッシ、錠などのことです。なぜ5分なのかというと、侵入にそれ以上時間がかかると犯人の7割があきらめるとのデータがあるからです。
住宅性能表示制度では、開口部を外部からの接近のしやすさに応じてグループ化して表示する
(国土交通省HPより/画像をクリックして拡大できます)
専有部分より共用部分の防犯が不安
4月以降に住宅性能表示制度を利用したマンションであれば、住戸の開口部に防犯建物部品が使われているかどうかが分かります。使われていれば、カギのかけ忘れなどがない限り犯人に侵入されにくい住戸と言うことができるでしょう。ただ、耐震性能などのように「等級1、等級3」などと単純にランク付けされるわけではないので、表示された内容を見ても「それで結局、防犯性能は高いの、低いの?」とピンとこないかもしれません。
それに、表示されるのはあくまで住戸の専有部分だけです。エントランスやエレベーター、外廊下などの共用部分は対象になりません。しかし川崎市で高層階からの投げ落とし殺害事件が起きたように、マンション内での犯罪は共用部分で発生することも多いのです。いくら自分の住戸の守りを固めても、玄関を一歩出たら犯人が待ち構えているような環境では、とても安全な住まいとはいえないでしょう。
この点について、独立行政法人建築研究所が昨年12月にマンション居住者(519名)を対象に行ったアンケートでも、専有部分よりも共用部分の防犯対策の満足度が低いことを示しています。満足度が「十分」「まあ十分」と回答した割合が、専有部分は30%なのに対し、共用部分は21%にとどまっているのです。






