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第52回 デトロイトの現実と、モビリティ社会の未来と。

2009年2月4日

モータージャーナリスト=清水 和夫 氏

対照的なドイツメーカーと日本メーカー

新年恒例のデトロイトショーの取材に出かけた。会場では、予想に反して、ビッグ3(米自動車大手3社)はサバイバルすると感じた。ゼネラル・モーターズ(GM)とフォードのプレスカンファレンスには労働者も参加し、お互いに痛みを分け合いながら、サバイバルしようという一体感を演出していた。

1月20日から始まるオバマ政権はビッグ3に対して、支援と引き換えに環境に優しい電気自動車などの普及を目指す、「グリーン・ニューディール政策」を要求するとささやかれている。これを受けてビッグ3はコンセプトカーをほとんど電気自動車やハイブリッドに変えてしまった(実際は“リップサービス”といわれるコンセプトカーもあったが)。

重要なことは、労働者も政府も企業も一丸となって、アメリカの基幹産業である自動車産業の復活を期待しているということである。アメリカの自動車市場はどんなに売れないといっても、1000万台以上のポテンシャルを有している。そして、この危機を乗り越えようという愛国心も、ビッグ3復活の大きな原動力となるだろう。

メルセデス・ベンツはデトロイトショーにこそ出展しなかったが、ショー前夜には会場のそばのホテルで、2009年のジュネーブショーで正式発表する新型Eクラスをプレス向けに公開した。

いかにアメリカ市場が重要であるかを、クライスラーの社長からダイムラー社CEOに転任した、ディーター・ツェッチCEOはよく知っている。同社のほとんどの役員はアメリカに乗り込み、Eクラスの発表会とデトロイトショーでのホスト役に徹していた。メルセデスだけではない。フォルクスワーゲンもアウディも、社長がデトロイトショーに参加し、アメリカの自動車産業の応援団になっていたのが印象的であった。

日本メーカーは日産自動車と三菱自動車とスズキが出展を取りやめた。トヨタはいつも通りの規模で出展しているが、社長や役員は姿を見せていない。そんななか、3代目「プリウス」とレクサス専用ハイブリッドの新型車が発表されていた。そして、ホンダはトヨタよりも遠慮していた印象で、プレスカンファレンスもないままに、新型「インサイト」だけがひっそりと展示場に置かれていた。

アメリカが病んでいるからこそ、応援に回ったドイツメーカー。自らの経営危機を感じてか、社長クラスを一切参加させなかったトヨタとホンダ。ドイツメーカーと日本メーカーはあまりにも対照的であった。

本稿を書いている時点では、デトロイトショーは始まったばかり。詳細は取材を終えてからリポートするとして、この後は新年第1回目のコラムにふさわしく、初夢の話をしたいと思う。

労働者が集まったビッグ3のブース

労働者が集まったビッグ3のブース

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