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第10回 どこかブルーなトドス・サントス・クチュマタン

2008年1月29日

ノンフィクション作家=島村 菜津氏

コーヒー畑へ向かうはずが……

外務省のホームページを覗くと、グアテマラでは正規登録の銃器が27万丁、違法銃器が中米で最多の150万丁以上出回り、2007年だけでバス強盗による運転手の殺害19件発生と、えらく物騒な国にみえる。しかし、実際に旅をしてみると、その内容にひどく違和感を覚える。

「少なくとも今のところ、荷物を預けても何もなくならないし、バスやホテルも外国人にふっかけようとしないし、人は親切だし、本当に危ない国なの?」

訊ねた相手は、マンリッケ・ロペス・カスティッロ。彼こそは、高山の小さなコーヒー農家のために、イタリアへのフェアトレードを実現させた功労者の1人だった。

独学で身につけた流暢(りゅうちょう)なイタリア語で話すが、まだ英語は苦手らしく、数カ月前に届いたミーシャの英文の手紙に、どう返事を出したものかと考えあぐね、ようやくメールが届いたのは、出発の2日前。帰国の2日前でなくて本当によかった。

出会ってみると、予想外に若い。30歳になったばかりで、北部の町、ウェウェテナンゴに妻と一人娘と暮していた。だが、一刻も早くコーヒー畑へという願いも空しく、「初日は、近くの村で年に1度の祭りがあるから、絶対に観た方がいいよ」と言い張る。その好意を踏みにじり、コーヒー畑への貴重な道標を怒らせるもの得策ではない。ここは黙って付いて行くことにした。

目的地はトドス・サントス。クチュマタン山の裾野に位置する人口2000人弱の村だ。それでもATMもあれば、スペイン語学校もあって、ちょっとした観光地になっているらしい。というのも、普段から男たちまで民俗衣装で決めているマム族の村だという。万聖節の祭りと同じ名を持つ町とあって、それは盛り上がるそうだ。

コーヒー畑へ行く前に、マム族の村に立ち寄ることになった

コーヒー畑へ行く前に、マム族の村に立ち寄ることになった


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