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第16回 桜とクマ

2008年8月8日

写真家=宮崎 学 氏


クマの唸り声

今年(2008年)の七夕の夜でした。私は、近所の公園につづく潅木の中で、ツキノワグマの唸り声を聞いてしまいました。なんとその距離は12mという近さです。

その日私は、中央アルプス山麓の高台にある展望台で市内の夜景を写真撮影していました。撮影も終わり、カメラを片付けていたのです。時間は、20時を少し回っていたでしょうか。

その声は、本当に注意しないと聞き取れないほど小さく短く、「ウウウウッ」っというものでした。

私は瞬間に、その唸り声は私に向けられたものではなく、子グマを連れていた母親が子供に対して「今はとにかく静かにしていなさい」と諭している声だと分かりました。

私をやり過ごそうとしているツキノワグマの親子が、すぐ近くにいたのです。

これは、対応をまちがえれば確実に襲ってくるだろうと思ったので、私はとっさに大声を出してパンパンと手のひらを叩きました。そうやって自分の存在を知らせてツキノワグマを警戒させたまま、車の中に避難したのです。


遊歩道を歩いてきたクマの親子

遊歩道を歩いてきたクマの親子
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