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第33回 デジカメが記憶にもたらす変容

2008年11月7日

デザイナー=益田 文和氏


フィルムとデジタル、どちらがサステナブル?

もしデザインを仕事にしていなかったら、私は写真家になっていたと思う。そういうことを言うやつに限って、生まれ変わっても相変わらず同じことを言っていて、いつまでたっても写真家にはならないそうだが、ま、それだけ好きだということ。

子供のころからずっとカメラに親しんで、様々なフィルムを使ってきた。現像もプリントも一通り自分でやって、写真が1枚出来るまでにどれだけのフィルムや印画紙や薬品や水や電気が必要なのかということは、理屈でなく経験として分かっている。

それに比べて、今のデジタルカメラは何と“脱物質的”で環境負荷が少ないことか……。その変化の大きさを思うとため息が出る。

しかし、元々カメラはストロボをたかない限り電池を使わなかったし、1本のフィルムで撮れたのは16枚から最大72枚まで。それが今では小さなメモリーカードに1000枚でもため込んで、それを撮るにも、見るにも、送るにも、プリントするにも、挙句の果ては写真立てにも、何でもかんでも電気を必要とするのである。

そう考えると、果たしてどちらのほうが環境負荷が少ないのか、サステナブルなのか分からなくなる。

一方、「写真を撮る」という行為と意識に関しては、だいぶ変化があったのは確かで、“文化のサステナビリティ”を考えるうえでは、そちらのほうが重大な意味を持つのかもしれない。

昔、革のケースに収まっていつも父親の首に下がっていた「Kodak Retina Ⅲc」。ずっしりと重い精密工学機器はやはり革のケースに入っているのがふさわしい

昔、革のケースに収まっていつも父親の首に下がっていた「Kodak Retina Ⅲc」。ずっしりと重い精密工学機器はやはり革のケースに入っているのがふさわしい
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ふたを開くと沈胴式のレンズブロックがおもむろに出てくる

ふたを開くと沈胴式のレンズブロックがおもむろに出てくる
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