エコは美学の追求
見た目にもこだわりを
自然素材の利用、長命を可能にする完璧な結露対策――もちろんそれ以外にも、太陽光発電パネルの設置をはじめ、中野氏のエコハウスは、氏のエコハウス研究成果の集約ともいうべき貴重な存在だ。そして今後もまた、さらなる研究の成果がリフォームの際に色々と生かされていくのだろう。ただ、中野氏は単に自然素材を使ったり、環境負荷の少ない設備を設けただけでは、エコハウスとは言えないとも指摘する。
「先に申し上げた通り、エコハウスとは長命住宅。つまりそれは、何年経っても“流通できる家”ということも意味しています。つまり、いくら自然素材を使ってたって、世代が2世代目、3世代目と変わった時に、「こんな家ダサイよね」って言われたら壊すしかないでしょう(笑)? 」
確かに、いくらエコハウスといえども、見た目に「欲しい!」と思わせるような魅力がなければ、通常よりコストもかかるエコハウスに住もうという人も増えないだろう。実際、木をふんだんに用いながらも、従来の日本の民家とはひと味違ったモダンな魅力のある中野氏の自宅は、“見た目”の部分にも大いにこだわりを感じさせる。
「ビジュアルが悪いのはもってのほかですよ。僕がエコハウスについて欧米で調査していた時に、向こうの建築家やデザイナーと話していて、ふと『エコハウスのエコというのは、突き詰めれば美学の追求ということになるんじゃないか?』と思ったんですね。それを彼らに伝えたら、『当たり前だ』と言われた。彼らにとって、美しくなければ建築物ではないんですね。だからこそ、向こうには100年、200年住宅が当たり前に存在しているんです。まあ、もちろん人や時代に左右されるので、永遠に愛されるユニバーサルなデザインというのはなかなか難しいです。でも、彼らが言った“美学の追求”ということだけは、大きなテーマとして持っておくことが大事ですね。家を買う時って、本当はみんな衝動買いでしょう? 『わあ、こんな家が欲しい』って。だから見た目はとても重要なんです。ただ、その裏で結露対策など、本来の“耐久性”という面で、長命対策をしている家でなければならない。そういう意味でエコハウスを建てる際は、長命のために最も必要な結露対策をしっかり行っている業者に価値を持って見た方が良い、というのが僕からのアドバイスですね」

中野氏のデザインへのこだわりを感じさせる一例が、このリビングの照明。「リビングは和式なのですが、デザインバランスを考えた時に、照明を何か工夫できないかなと思って。間接照明でモダンな大人っぽい雰囲気にするのもいいけど、うちは小さな子供がたくさんいますからね。そこで照明の前に樹脂の板を入れて、障子の様な雰囲気に仕上げました。

住環境ジャーナリスト 中野 博氏
中野 博(なかの・ひろし)氏
住環境ジャーナリスト兼エコマーケッター。
経歴
早稲田大学商学部卒業。大学卒業後は株式会社デンソー入社。やがて自動車・住宅調査機関で数々の調査・研究リポートを発表するようになる。1992年にブラジルのリオで開催された国連地球環境サミットには、環境ジャーナリストとして参加。1998年には株式会社エコライフ研究所を設立、代表取締役に就任する。以後、現在までエコ生活実現のための様々な提案や、エコハウスの推進活動などを行っている。また、環境と建築、健康問題などでの講演会において全国各地域で講師を務め、その数は12年間で600回を超える。2001年には北欧3カ国から、2007年にはスイス政府から環境ジャーナリストとして招聘された。
主な著書
『その家づくり、ちょっと待った!』(PHP研究所)
『エコ住宅の本』(東洋経済新報社)
『天然素材でつくる健康住宅』(日本実業出版)
『シックハウスよ、さようなら』(TBSブリタニカ)
『エコハウスに住みたい』(荒地出版)
『空気のきれいな家をつくる』(講談社)
『こんなエコ商品が欲しい!』(東洋経済新報社)
『感動と癒しの「木の家」に住みたい!』(日本実業出版)
『新車は化学物質で汚染されている!』(現代書林)
参考Webサイト
エコライフ研究所




