サイクルモードの明日
実のことをいうなら、この動きはクロスバイクだけじゃない。
ロードバイクも各社の差が、少なくとも見た目には、見えにくくなっている。MTBもそう。各社の戦いどころはコストダウンと、軽量化、乗り心地、カラーリングなど。鬼面人を驚かすニューモデルは目に見えて減った。そして、それ以外のジャンルについても、あえてニュースタイルにチャレンジする、という動きがかなり鈍くなっているのは確かだ。
これが5年前ならば話は違っていた。
古参、新参を問わず、各メーカー「2WDの自転車」やら「ダウンチューブがない自転車」やら「チェーンホイールが2枚ある自転車」やら、なかには「それに一体どんな意味が?」というモノも含め、続々、“実験的自転車”を展示していたものだ。まだまだ自転車ブームの黎明(れいめい)期にすら当たらない時代、現状を打開するという意識からか、ユーザーの嗜好(しこう)がまだ読み切れなかったからか、そういう“楽しい”自転車が、「自転車ショー」には多く展示されていた。
ところが今、各社は、コストパフォーマンスに優れた、手堅い自転車ばかりをリリースする。
もとより戦前にほぼすべての技術が出尽くしていた「自転車」という工業製品だもの、なかなか革新的な自転車など出ようはずもない。また、ここがモーターショーと全く違うところなのだけど、それぞれのメーカーの資本がクルマ業界と違いすぎるから、研究開発費など、そうそうクルマ並みに出るわけもない。そもそも単価が安いのだ。自転車ってヤツは。
各社、手堅い。そしてユーザーも手堅い。サイクルモードは年々「実践的」「現実的」なものとなってきている。それはそれで正しいことではあろうが、私のように「今年はどんなモデルが驚かせてくれるかな?」なんて思っている不埒(ふらち)なユーザーには、ちょっと寂しいのも確かだ。

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