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未来から今日の住生活を考える

ここまで夢物語のような思いを述べましたが、こういった未来の具体的な姿についての予測は、大きく外れる可能性があることは否定できません。しかし、未来が必ず置かれる状況・条件から現在を見直すことは、より確実で意味のあることです。この手法は予測(フォーキャスト)に対して“バックキャスト”と呼ばれます。「エコ住宅」、そこで営まれる「エコライフ」は、その筋書きに沿った存在です。生活の満足度を高めながら環境への悪影響が最小限にするための必然でもあります。

初回に「エコ生活はエコ住宅で結実する」と申しました。こころざしが建築デザインや高性能な設備に支えられ実現するという図式です。未来へつながるエコな暮らしは、気持ち・理想だけでは前に進みませんから、確実で生命に反しない技術を取り入れ生かすことが必要です。美しく真に優れた住宅は愛され大切にされ続け、その存在が正しい暮らし方を示してくれます。ぜひ、あなた自身のエコ住宅の実現を目指してください。

住空間だけでなく都市環境も、さらには社会制度全体がエコシステムに統合されなければ不十分です。少子高齢化、食の安全、年金など今日的な諸課題も、地球と地域の環境が保全されることが前提で、この共通の基盤が失われたら殆ど意味も持ちません。

今はまだ過渡期、と悠長に構えている時間はありません。早く転換すれば致命傷にならずに済みます。もっとも、エコライフ・エコ住宅だけで世の中が変わるとは思っていません。しかし、住まいは万人が共有する生活の中心であり、基礎的な生活スキルを次世代に教える場です。食の作法、火や刃物の扱い方、人付き合い、価値観等が培われるのは家庭です。住まいでの習慣は職場・地域での行動に反映します。私はこの点に期待をかけます。

今日の価値観には未来の社会で見直しを必要とするものもあるでしょう。その一例として自由・平等は人類にとって自明の権利とされていますが、エコの視点からは“環境が許す範囲における自由”、“未来世代を含む平等”と再定義する必要があります。

書き尽きませんが、私の率直な気持ちを述べて、このコラムの結びとします。
人間も自然界の一員に過ぎないことを意識し、自然環境の一郭を借りて手を加えながら大切に使い、感謝し、楽しみ、汚さず、ましてや収奪せず、永続的に与えられる恵みの範囲で生活を営み、遠い子孫達が幸せに生き続けるよう配慮すること。“エコな暮らし・エコな住まい”の精神は、このようなものだと考えます。

「再生エコハウス」(奈良市、著者の自宅)

「再生エコハウス」(奈良市、著者の自宅)


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濱 惠介(はま・けいすけ)

エコ住宅研究家。

大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所 研究主幹。

日本住宅公団および住宅・都市整備公団で都市住宅建設・住環境整備に携わる。その間、東京大学工学部 非常勤講師などを経て現職へ。研究領域は「エコロジカルな住まい・生活・街づくり」。

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