なぜ手づくりがエコなのか
種としての現代人類はホモ・サピエンス(homo sapiens)、つまり「知性を持つヒト」と呼ばれます。これと似た表現でホモ・ルーデンス(homo ludens)やホモ・ファーベル(homo faber)があります。前者は「遊ぶヒト」、後者は「作るヒト」という意味で、人間の根源的な行動を表しています。今回の話題は、家具や住まいの一部を自分で作ることですが、上の言葉からも、モノを作り遊び楽しむというのは、きわめて人間的な行為らしいのです。そこで、エコの視点から手づくりの意味を改めて考えてみましょう。
歴史を振り返ってみると、我々は社会の産業化によって物質的な豊かさを獲得しました。特に工業の発展と大量生産によって、多種多様なモノが庶民の手にも入るようになりました。同時に、工業の発展がもたらした高性能の農機具や優れた施肥・防虫技術によって、食糧も飛躍的な増産に成功し、人口も急激に増えました。一方、大量生産・大量消費の結果、資源の枯渇や環境の汚染・破壊という深刻な問題を引き起こしています。
それに比べ、昔ながらの手仕事によるモノづくりは、今あらたな意味を持つようになったと思われます。手づくりは基本的に一品生産で、作る量も限られています。大きな装置は不要ですから、大きな資本とも無縁で、必要がなくなれば止めればよいのです。
もう一つ、不用品の再利用や転用には手仕事が最適です。目の前にある何かを別な形に使い回しができないか、と考えることは創造的であり楽しいことです。これは資源の有効利用と廃棄物の削減そのものです。金属やガラスの加工は難しいですが、木や布など柔らかい自然素材は手仕事に向いています。
このように、手づくりの行為とは環境負荷を小さくする有効な手段であることが確認できます。職業として捉えると、手づくりは現代の生活を支える程の生産性はありません。しかし、それが楽しみとなれば、生活価値(quality of life)の向上になります。効率を度外視して時間をかけられます。だからこそ楽しいライフスタイルの一部になるのです。
手づくりには、それなりの技術やセンスが要るかもしれません。道具もある程度は揃える必要があります。ともあれ、自ら家具を作り家に手を加えるのは、趣味と実益を兼ねたエコな行動に違いはないでしょう。





