サブプライム問題に見てとれる
アメリカならではの住宅観
アメリカでは今、サブプライム住宅ローンの焦げ付き問題で大騒ぎになっている。日本のように住宅が終の棲家であるという感覚がずいぶん薄く、流動資産のひとつであるという感覚が根底にあるのも原因の一つのように思える。アメリカでは買った住宅に自分で手を加え、付加価値をつくって買った時よりも高値で転売する、ということが日常的に行われる。それが今回のサブプライム問題に端的に表出しているように思う。
その問題は今のところ“対岸の火事”だが、それはいつ日本に飛び火するかわからない。住宅の設計を仕事の一部にしている僕らの事務所にとって、日本の住宅市場への影響が気にならないわけではない。それが株価の暴落を引き起こし、さらには世界的な連鎖株安につながっているわけだから、まったく経済とはやっかいなものだ。
少なくとも数年前までは、そういった経済状況など建築家やデザイナーには関係ないように見えていた。だが実は僕らの仕事は経済のシステムにも関与することであり、それを表現に変換していくこともおもしろいということに、この数年で気がつくことができた。「東京R不動産」が与えてくれた気づきだと思う。
そんな対岸のサブプライム住宅ローン問題を眺めながら、あるアメリカ在住のキューバ人アーティストのことを、ふと思い出した。彼の名前はホルヘ・パルド。LAを拠点に活躍している。アートと建築、デザインの領域を飛び越えた作品をつくるのが特徴で、例えばNYのディア・アートセンター(DIA CENTER FOR THE ARTS)では、1階部分のブックショップ全体を、鮮やかなパステルカラーのタイルで覆い尽くしアート作品にしてしまった。それはインテリアデザインのようでもあり、アートワークとしても捉えられる、とにかく印象深い美しい空間だった。
そして彼を訪ねてNY郊外のロングアイランドにあるサマーハウスに行った時、そこで彼がアートと不動産物件の領域を曖昧にするような、痛快な試みを行っているのを目にした。

ホルへ・パルドのサマーハウス。外観は一見、普通の家。しかし中に入るとそれは見事に裏切られる。





