宮崎駿の発言が暗示する
21世紀の人間・都市・自然の関係性
以前にも書いたように、僕はかつて『A』(光琳社、後に文芸社)という雑誌の編集長をしていた。
『A』とは「Architecture(建築)」、その他にも「Art(アート)」、「Anonymous(都市のなかの不特定な誰か)」、あらゆる始まりの「A」、というような意味も含ませていた。建築とサブカルチャーの中間にあるような、ちょっと変わった雑誌だった。それをつくるプロセスのなかで、文章を書くことやインタビューをする技術、編集の方法を学んでいった。
またその雑誌のおかげで、さまざまな人に会うことができた。インタビューという名目ならば、不思議と会ってくれるのだ。そのときメディアは魔法の絨毯のように、どこにでも連れて行ってくれる不思議なツールだ、と思ったものだ。僕はそれを最大限に利用して、会いたい人に会いに行った。そのなかでもっとも印象的だったのが宮崎駿監督だった。
雑誌『A』のインタビューで、必ず聞く質問があった。
「将来の東京はどうなっていると思いますか?」
人によりさまざまな答えが返ってくるのだが、この質問を彼に投げかけた時、彼は一言、こう答えた。
「海に戻る」
10年後くらいの都市のイメージについて答える人が多いなかで、彼だけが都市の生成を数百年単位で捉えた解を持っていた。極端な表現だとは思うが、そこには21世紀の人間と都市、そして人間と自然の関係性の変化についての暗示があるように思えてならない。






