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第5回 東京から1時間半圏内の新しい郊外を探す旅

2007年5月1日

建築家=馬場 正尊 氏

偶然の出会いを求めて
房総半島へのロケハンの旅

最近、千葉県の房総半島に通っている。

もともとは僕が手がける「東京R不動産」の兄弟サイトとして始めた「リラックス不動産」のロケーションハンティングが目的だった。

東京R不動産ホームページ

「東京R不動産」の兄弟サイト、「リラックス不動産」のトップページ

土地勘を養うためには、とにかくその場所を訪れ、その土地に流れる空気を吸うしかない。

重要なのは東京からの時間距離で、車で1時間半くらいで着ける場所を選んでいる。

休日になると、とりあえず地図を広げ、なんとなく目的地を決め、カーナビに適当に目的地を入力してみる。あとは機械の言いなりになって何も考えず車を走らせる。目的地に着いたら、その街の雰囲気

そんな中途半端な、田舎を訪れる旅を繰り返しているうちに、次第に気がつき始めたことがある。

僕らの毎日は意味で満たされすぎている……。

最近はちょっとした週末の旅でさえ、どこにうまい店があって、どこに絶景ポイントがあって、それらを効率的に回るためにはどんなルートがいいのか、下調べを万全に行なったりする。誰もが休みは存分に使い切らなければならないような気になっている。でも落ち着いて考えてみれば、仕事のように「旅を効率化する」ってどういうことだろう? この目的の薄い房総半島への旅は、学生時代は普通だった、“何と出会うのか常にわからない偶然の旅”のことを僕に思い出させた。

カーナビに入力する目的地は駅の名前であることが多い。この日は「久留里(くるり)」という房総半島のちょうど真ん中の駅に焦点を定めてみた。その人を食ったような、力の抜けた地名は、この目的の薄いドライブにはうってつけのように思えたからだ。目的地が久留里なら…と僕はさっそくカーステレオでロックバンド「くるり」のアルバムを選んで、BGMにしながら首都高に飛び乗った。

東京都品川区の自宅から、仮目的地の久留里駅までは驚くほど近く、実際に1時間ちょっとで着いてしまう。駅に着いたらちょうど電車が止まっていたので、そのまま乗ってみることにした。のどかな単線で2時間に1本しか運行していない。それに偶然ぶつかるとは、かなりラッキーと言えよう。

車内には部活帰りのジャージ姿の高校生、農作物を入れた袋を持ったおばあちゃんがまばらに乗っている。

このどうでもいい力の抜けた日常の風景。

品川の喧噪から1時間の場所にある風景とは思えない。

JR久留里線久留里駅

JR久留里線久留里駅

久留里線では、このような素朴な風景が続く

久留里線では、このような素朴な風景が続く

終点は上総亀山駅。駅の周りには何もない。駅前の地図を見ると、ここから歩いて15分くらいのところにダム湖があって、そのほとりに温泉マークが記されているのを発見した。

とりあえずその温泉を目的地にダムの岸を沿うように歩いたのだが、その間は誰ともすれ違わなかった。

終点、上総亀山駅。

終点、上総亀山駅。都会の駅に見られるような建物やお店などは何もない

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