「まずは山河(やまんこ)公園に行って、おやつにしま〜す」

「え? いきなりおやつ……?」

僕が子供の頃は、おやつは最後の最後にようやくありつける代物だった。それだけに遠足におけるおやつの位置付けは高く、どこへ行くかよりも、何を持っていくかに意識の多くを向けていた。バナナがおやつの部類に入るか否か、子供なりの論拠を並べて、よく議論を交わしたものだ。それが「プロローグ」の段階でいきなりおやつとは、ありがたみに欠けてしまって少々寂しい気もする。というのも、今回の遠足のメインは「ジャガイモ掘り」。島の南部、平内(ひらうち)集落にある畑までの道中で、公衆トイレがあるのは原(はるお)集落にある山河公園だけ。つまりトイレを済ませるための小休止というわけだ。

出発してからわずか15分。遠足気分もこれから盛り上がろうという矢先、あっさり山河公園に到着した。子供たちはバスを降りると、思い思いに遊び始める。都会ではどこにでもあるような公園だが、背後に雄大なモッチョム岳が控えているのは屋久島ならではで、ただのトイレ休憩では確かにもったいない。そんな風景の下、朝からおやつをむさぼる子供たちの姿は、僕の目にはこの上なく贅沢に映った。

30分ほど体を動かしてトイレを済ませたら、再びバスに乗り込み、ジャガイモ畑へ。今度は山の風景から一転、黒潮の海を見下ろす爽快なロケーションが待っていた。バスを降りて一斉に畑へなだれ込むと、早速イモ掘りが始まる。息子は普段から知人の畑で経験を積んでいるだけに、わずか10分足らずで袋いっぱいのジャガイモを掘り上げた。

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