生まれ持った運と、時代を感じ表現するセンス。役者は、技術的なものだけでなく、つねにその感覚も研ぎ澄ましていかなければならない。

「生涯勉強だと思いますが、ただ、40代になってから、変わったこともあります。それは、次世代の何かを育てる、人を育てるといったらおこがましいと思ってしまいますが、…人との関係を育てていくということに、意識を注がなければならないと思うようになったことです。

自分がこうありたいという欲求のままに、好きなように生きることは、多少のリスクはあってもできないことではありません。けれど、40歳を過ぎればある程度の地位もついてきますし、上に立つ者として“関係を築く”立場にまわらなければならないと感じるのです。関係性の未来を拡げることができるかどうか、人を育てることに意識が向けられるか否かが、“大人”になれるかどうかの分岐点であり、それを考えるのが今の年代なのだと思うのです」

少し、意外かもしれない。メディアを介して見る本木雅弘は、いつもどこか先鋭的で、世間体など気にしていないようにも思えたから。

「正直な話をすれば、今の自分は、自分の意見で心から話しているというよりも、どこかでこの辺が真っ当かなという言葉を選んで…ちょっと美化して話していますから(笑)。10年後には、(もっと)確かな自分の言葉で語ってみたいと思います」

ストーリー チェリストとしての仕事を失った主人公・大悟(本木雅弘)は、妻の美香(広末涼子)を連れて故郷に帰り、“旅のお手伝い”と書かれた求人広告を手にNKエージェントを訪れる。しかし実際には“安らかな旅立ちのお手伝い”=納棺師という遺体を棺に収める仕事だった。美人だと思ったらニューハーフだった青年、幼い娘を残して亡くなった母親、たくさんのキスマークで送り出される大往生のおじいちゃん…様々な“別れ”との出会いが大悟を待ち受けていた。

山田 真弓(やまだ・まゆみ)

神奈川県藤沢市生まれ。音楽専門誌「ストレンジ・デイズ」ほか出版社、編集部を経てフリーランスのライター兼編集者に。「日経エンタテインメント!」「大人のロック!」(日経BP社)や「In Red」(宝島社)などで執筆中。

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