「真面目に付き合おうとすると、何か嘘だなと思う」
「父と息子という関係は、どうしても対立項として描かれるものです。でも、それだけではつまらない。そこにもう1つ、母や女の人の存在があって、見えてくるものがある。それは『歩いても〜』でも『たみお〜』でも同じことで、麻生久美子さん、大竹しのぶさんたちがいて、男どもの限界というのか、ある種の弱さが出て、そこに息子がふっと寄り添う形がある」
男手ひとつで息子を育てた伸男は、なぜかとても女性にもてる。同じ会社で働く中年女性の“宮地さん”(大竹しのぶ)との交際は公然の秘密状態。にも関わらず、入社希望の女性を面接すれば、別れ際にさりげなく肩に触れてみせ、相手に気を持たせる。「もう最低男だね」と原田は愛情を込めながら不肖の分身について語る。映画の冒頭のこのシーンで見せた肩に触れる芝居は、撮影現場で思いついた。

「初っぱなにああいう名刺を渡しておいたほうがいいかなと思っちゃうんだよね、観客に対して」
そんな父親と正反対に、息子は女性に対してはかなりオクテだ。
「民男をああいうふうに追い込んでいるのが、この駄目おやじなんだ。現実の女の人を目にした時に躊躇する。だから真剣に恋愛もできないんじゃないか。伸男もそういうところがある。真面目に付き合おうとすると、何か嘘だな、とか、違うなぁと思っちゃう」




