母と娘とはもちろん、母と息子とも違う独特な距離感を保ちながら、気ままに暮してきた父と息子。ある日、息子がお見合いで“運命の女性”と出会った瞬間から、2人の生活は思わぬ方向へと転がり始める。息子・民男の結婚というイベントを控え、周囲の人々の起こす奇怪な行動に翻弄される父子を描く異色コメディ『たみおのしあわせ』で、原田芳雄は父・伸男を演じる。原田が以前から舞台演出家として注目していた岩松了が監督、そして「今までにないスタイルを持つ、自分にとってまったく新鮮な俳優」というオダギリジョーとの共演。それが出演を決めた一番の理由だ。

「いろんな関係の中で、父親になっていく」
公開中の『歩いても 歩いても』、あるいは『竜馬暗殺』(74年)以来、何度も組んだ、今は亡き黒木和雄監督の『父と暮せば』(04年)など、近年の出演作では「父親」という存在を様々な形で演じている。そんな原田は「父親というのは、いろんな関係の中で“なっていく”もんじゃないかと思うんです」と言う。
「生まれてきた子どもにとって、父親なんて不可解きわまりない恐ろしい存在ですよ。お腹の中にいた母親と違って、妖怪か怪獣か悪魔か(笑)、そんなもんでしょ。そこから父と子の関係は始まり、父親である自分の時代だとか歴史だとか、全部子の中に含まれるわけだよね。それがある日、今までわかっていたつもりの息子の、全然わからない部分が見えてくる。こっちの投影が効かなくなってくるわけだよね」




