「“恋愛映画といったら雨”というように、まず“状況”を考える映画監督は少なくありません。でも、私の場合は“感情”を一番大切にしています。始めに、恋愛での様々な感情を想定し、それにあわせて周囲の背景や状況をつくり上げていく。例えば映画『ラブストーリー』の場合ですと、思春期の多感な頃に恋に落ちて胸がときめく物語。そこでは、まず私自身がその頃の感情を探してつかみとり、脚本を書いていく。撮影に入るときも同じで、自分自身がその感情になりきって撮っていきます。自分自身に実際に起こったこというより、自分が想像していたことがたくさん入っていると言えます。フォークダンスのシーンは、行きたくても行けなかった少年時代の私の感情をもとに想像して描きました。逆に、『僕の彼女はサイボーグ』でジローが歩きながら電柱にバンッとぶつかるシーンは、実際にあったことが混ざっているんですよ」

クァク・ジェヨン Kwak Jae Yong
1959年、韓国に生まれる。慶熙大学卒業後、ドラマ「雨の降る日の水彩画」(89)で監督デビュー。93年に「雨の降る日の水彩画2」(93)を発表。01年に、8年ぶりとなる『猟奇的な彼女』を監督し、韓国で500万人を動員する大ヒット作となった。日本をはじめアジア各国でも大ヒットし、ドリームワークスがリメイク権を獲得した。『僕の彼女を紹介します』(04)は、日本での韓国映画興行記録を塗り替える爆発的ヒットを記録。その他、『ラブストーリー』(03)の監督や、『ピアノを弾く大統領』(02)の脚本などを手がけている。

もう1つ、恋愛映画にとって何より大切なのは「ヒロインの魅力をいかに引き出すか」だと言う。

「恋愛の対象になるわけですから、観客はヒロインに『可愛いな、素敵だな』と共感する必要があります。今回、綾瀬はるかは周りが可愛いと認めてくれたので安心しました。でも、彼女はサイボーグかもしれないので気をつけてくださいね(笑)」

オールキャスト&スタッフが日本人という中で作り上げた『僕の彼女はサイボーグ』だが、「初めて完成した試写を見終わったとき、スタッフ全員から『ぜひ次回作もまた監督と一緒にやりたい』と言われたんです。本当にうれしかったですね」

坂口 さゆり

ライター。

生命保険会社のOLから編集者を経て、フリーランスライターに。映画やインタビュー記事を中心に、週刊誌『AERA』や朝日新聞などで執筆するほか、女性誌『Oggi』『Precious』などで連載中。著書に『バラバの妻として』(NHK出版)がある。

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