幼少の頃より故郷・秋田の「大曲の花火」(※1)に魅了され、小学生でカメラを持って以来、花火を撮り続けている写真家の泉谷玄作さん。300点もの写真を使い、花火の“すべて”を紹介した『花火の図鑑』('07年)に続き、7月19日には日本の四季を背景に67カ所の花火を撮り下ろした『泉谷玄作 花火』を発表。花火の撮影を“ライフワーク”とする泉谷さんに話を聞いた。
一瞬の美しさ

芯入千輪「雪椿」
秋田県大仙市「全国花火競技大会 大曲の花火」
※千輪(せんりん)は、花が開いたときに、小さい小花がたくさん開花するものをいいます。
花火は桜と似ていると思うんです。あっという間に満開になったかと思うと、すぐに散ってしまう。桜と一緒で、ほんの一瞬のうちに終わってしまうからこそ、美しく心に残る。その美しさを残したいという気持ちから、写真に収めたくなるのだと思います。
花火にも理想的な形があります。雨が降ると輪郭がぼやけてしまうし、風が吹いたりすると形が流れてしまう。ナイアガラなどは、湿度が高いと煙がたくさん立ってしまって、全体的にもやっとしてしまう。いい条件でうまく撮るというのは、簡単なようで実はとても難しいんです。花火師さんの腕はもとより、天気、風など気象条件がそろわないと、いい写真にはなりません。私が理想とする花火の形は、完璧な“丸”ですね。花火が開いて、光が最後まで伸びきらないうちに、風に流されて楕円形になってしまったりすると、「もったいない!」と思ってしまいます。
個人的に好きなのは、「千輪(せんりん)菊」と呼ばれる花火です。菊の小花がたくさん咲いて、非常に華がある。単色のものもあれば、赤、黄、青など2色以上の色が入った「彩色(さいしょく)千輪菊」というものもあります。白銀の千輪菊もシンプルですがとてもきれいですよね。千輪菊は定番の花火ですが、花火師さんによって配色やデザインが違うのがまた魅力です。なかでも新潟県の「片貝まつり浅原神社秋季例大祭奉納大煙火」(毎年9月9、10日開催)(※2)の千輪菊は、すべての小花が一瞬で同時に開くように作ってあり、その様は圧巻です。日本の中でもこのように開くのは、あそこだけではないでしょうか。




