技術だけでは表せない、生き様や価値観、思想、すべてが反映されてくる

とくにペアで踊ることの魅力は、言葉のない会話が成立することです。

同じペアで踊るにしても、私にとってソーシャルダンスとアルゼンチンタンゴは違います。アルゼンチンタンゴの精神は、人生そのものだということです。ダンスが年齢を重ねるごとに成熟していく。

ソーシャルダンスはスポーツ競技だといいましたが、それはつまりスポーツであれば年齢的・肉体的なピークというものがあるということ。でもアルゼンチンタンゴはその年齢ごとに踊りの味わいが出てきます。若くて体が動くから良しとされているわけではないというところがあると思うんです。

その人が歩んできた人生の味わいが踊りに還元されて、それが見る人の心を打ったり、哀愁のようなものを感じさせたりする。それはタンゴならでは。

技術だけでは表せない、生き様や価値観、思想、すべてが反映されてくるんです。

もちろん私自身も、9年前、5年前、そして今では踊っているタンゴはまったく違う。私の中でのタンゴに対する解釈の仕方も変わってきていますし、自分という人間を通して出てくるもの、自分の人生を通して出てくるものがまったく異なってきているんです。

今のほうが、タンゴをしっかりと理解しているというところもありますし、いろんな経験が伴って、人間のさまざまな悲哀をよりいっそう感じることができるようになっていますね。

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