タンゴは精神性を高める「気」のやり取り。
アルゼンチンタンゴを踊ることと美への追求は、もちろんリンクしています。
当然スポーツをしているのと同じくらいの運動量があるわけですから、肉体的な面でもそうですが、それ以上に魂を活性化させるものだと思うんです。
情熱を傾けるということ。それから「気」のやり取り。
リードしてくださる男性とリードされて踊る自分との「気」のやり取り。そうしたことは、自分の精神を高めてくれます。もう、ある種の修行にも近い(笑)、すごく繊細で大変なことだったりするんですよね。それを極めるにはただ体を鍛えればいいということではなく、精神性を高めていく必要があるんです。
もちろん私も最初のうちは、なかなか体で理解できない、ステップのコツ、リードが伝わってこない、そのリードをどうやって解釈したらいいかということをキャッチできないということが歯がゆかった時期があります。
アルゼンチンタンゴは男性が女性にこうしてほしいということを、言葉ではなく、体と気で伝えるので、全神経を集中させ敏感にキャッチして体で反応しなければならないから、非常に難しいんです。本当に今ようやく、ある程度のことが感じられるようになった、研ぎ澄ませるようになりましたが、当初はなかなかそこまでキャッチできず「なんでこんなことがわからないんだろう、できないんだろう」といらいらしたこともありました。
今は表現者として、ただ上手く踊っているだけではいけないと思っています。自分独自の世界観を創造し、パフォーマンスのオリジナリティを探求する、今はその段階になっています。自分にとってのタンゴを見つけていくということ。それは楽しくもあり、苦しい作業でもあります。
私の人生においては美への追求に関しても、アルゼンチンタンゴは大きな影響力を持っています。それは肉体面と精神面と両方が磨かれてこそ、本当に美しい人だと思うから。
どうしても、「これだけやっていればいい」という安易な捉え方をする方も多いと思いますが、これさえやっていれば大丈夫という、楽な手段は何一つないと思うんです。
常に自分は何をするべきか、把握していることが大切です。みんながみんな同じことをすればそれでいいというわけでもない。自分にとっての何かを見つける。
それが私にとってはアルゼンチンタンゴだったりするわけですけれど。




