
“頭の中が一番広くて面白い遊び場”
確かに書斎があれば取材の時には絵にはなりますけど、僕にとって小説を書く時にスペースの良し悪しはあまり関係ありませんね。僕は“頭の中が一番広くて面白い遊び場”だと思っているから。仕事続きで気分を変えるには場所を変えて感情を切り替えるといいんですよ。

一番気分転換になるものは、昼寝や散歩、音楽などでしょうか。背景の場所を変えてみたり、感情に直接響くものを見たり聞いたりするのが効果的でしょうね。そうはいっても、小説のネタは所かまわず浮かぶので、あまり関係ないかもしれません。テレビに出演している生放送の最中でもアイデアが浮かぶ時は浮かびますからね。こうやって取材を受けている時や誰かと電話で話している時なんかでも浮かんだりするんです。アイデアが降りてくる時は、時や場所を選ばず降りてきますね。
アイデアが降りてこない時は本当に大変ですよ(笑)。何かにこだわって集中している時には降りてこないんですよね。圧力を抜いてぼんやりした瞬間にアイデアって浮かぶものなんです。ただ、ぼんやりすればいいってことではありません。集中と弛緩を繰り返すリズムを自分なりに作っていくのが一番インスピレーションを湧かせるのにはいいんじゃないですかね。


石田 衣良 (いしだ・いら)
1960年東京都生まれ。
成蹊大学経済学部卒業。広告制作会社を経てフリーランスのコピーライターに。97年『池袋ウエストゲートパーク』で第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞。2003年『4TEEN』で第129回直木賞を受賞。2006年に『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞を受賞。著書は『うつくしい子ども』『波のうえの魔術師』『美丘』『約束』『てのひらの迷路』など多数。最新刊は『5年3組リョウタ組』(角川書店)。




