場所に関する予備知識は必要か
どちらが良いとか悪いとか一概には言えないですが、やはり違いますね。例えば、ヨルダンのペトラをご存知ですか?映画『インディー・ジョーンズ』の舞台としても有名な世界遺産なのですが、僕は映画を見てからその場所に行ったので、頭の中で場所のイメージが既に出来上がっていました。でも、一緒に行った友人は見たことがなかったらしく、ものすごく驚いていたんです。全く予備知識の無い人の感動というのは、やはりすごいものがありますね。逆に映画を見ている僕としては、映画の中に入り込んだかのような感覚になれる、という面白さはありましたが(笑)。
ただ、写真を撮るということで言えば、予備知識のない状態で行った方が良い写真が撮れることが多いです。景色に驚いて無条件に感動している写真というのは、それはそれで良い写真になるんです。歴史の“うんちく”よりも、建物や場所そのものに力がありますから、自由でスケールの大きな写真が撮れる気がします。
まだ世界遺産に登録されていない絶景
人生ですね。生き様です。ここまで来たら、一生追いかけて行きたいロマンです。今になって思いますが、世界遺産というものが無ければ、写真を撮ってこなかったと思います。
でも、僕の中で「どうして、ここを世界遺産にしないの?」と思う場所もたくさんあります。例えば、アルゼンチン側ではなく、チリ側の氷河とか、ボリビアのウユニ塩湖などがそうですね。ここは、チリとの国境あたりにあった湖が数万年前に水分が蒸発して塩が固まって塩湖になった場所ですが、太古の昔から変わらない白一面の世界を今も残しています。この他にも世界遺産にすればいいのに、と僕が思う場所は50以上はありますよ。僕は「“私的世界遺産”ということでどこかに出版できないですか?」と色んな人に話しているんですけどね(笑)。そうやって、自分だけの世界遺産が増えていくのも楽しみの1つです。

平山 和充(ひらやま・かずみ)
旅行雑誌の編集を経た後、南米ボリビアに7年在留し、南米中を撮影して歩く。1997年、リマの日本大使公邸人質事件の取材中に公邸突入の瞬間を撮影し、新聞紙面を飾る。その後、拠点を日本に戻し、ユネスコの世界遺産の取材を中心に世界中を歩いている。
2006年10月には、15年間かけて編纂した「魅惑の世界遺産100選」を出版。(詳細についてはPart3にて紹介。)




