35ミリフィルムそのままの大きさを撮影できるフルサイズデジタル一眼。36 x 24 mm のセンサーから描き出される画は、一般的なAPSサイズの画とは一線を画している。そのフルサイズデジタル一眼は、今まで高価なプロ用のフラッグシップモデルだけであった。それが2005年のキヤノンEOS 5Dの登場から一般ユーザーの手が届くものになり、昨年はニコンD700、ソニーα900、そしてEOS 5D Mark IIと買いやすい価格の新製品が続々と登場。フィルム時代の写真の愉しみを取り戻す人や、未知のフルサイズ写真の世界に飛び込む人が増えた。
“フルサイズ”の魅力とは一体何だろうか
まずはボケの美しさが挙げられるだろう。“Bokeh”と英語にまでなりつつある、いわゆる“ボケ味”のことである。そう、大きなセンサーはボケるのだ。絞りを開けて撮影したカットを今までのAPSサイズのデジタル一眼で撮影したものと較べてみて欲しい。できれば中望遠クラス以上のレンズで試すと効果がよくわかるだろう。ピントのあったポイント以外がキレイに美しくボケていないだろうか。このように写真ならではの表現効果が画に顕著に表れるのがフルサイズデジタル一眼の魅力なのだ。
また2007年に発売されたニコンD3は、FXフォーマットと呼ぶ同社初となるフルサイズデジタル一眼だが、他社と違って高解像度を狙わず、高感度性能と連写性能、そして描写性能の高度なバランスを取ったモデルだ。画素サイズを大きくとったことで階調表現が豊かになり、最高ISO 2万5600まで感度を上げて撮影できるようになった。このニコンD3と2008年に発売になったニコンD700の高感度特性は驚異的で、ISO 1600、3200は常用、シーンによってはISO 6400まで使用できると言ってもいいくらいの画質だ。スポーツや報道の分野はもちろん、今まで撮影ができないと思っていたシーンや躊躇していた暗いシーンでも"撮影できる"という、フォトグラファーの可能性と写真表現の領域をフルサイズデジタル一眼が大きく拡げたと好例と言ってもいいだろう。
そしてフルサイズデジタル一眼の一番のメリットと言えば、銀塩フィルム時代からのフォトグラファーにとって身体に染みついている“画角”がそのまま有効なことだ。
例えば50ミリレンズが“50ミリ”で使え、APSサイズのデジタル一眼と違って、1.5倍換算しなくて済む(メーカーによっては1倍=フルサイズ、1.3倍、1.6倍が混在するのでややこしいのだ)。非常に“感覚的”な問題だがこれはとても重要なことだ。とっさのレンズ交換や自分の立ち位置などの決定に大きな影響を及ぼすからだ。今までフルサイズデジタル一眼以外を使っていて、「どうもしっくりこない」と思っている方はこのような影響が考えられるだろう。“感覚”というアナログ的な問題だが、撮影に与える影響は大きい。





