老舗のフランスパン
今年は5月から雨の日が多かったので、入梅したからうっとうしいと感じることはあまりないのですが、湿りがちなこの季候は、当然食材に影響を与えます。冷蔵庫の中は乾燥しているから、庫内に貯蔵しているものはいいとして、いったん取り出したまましばらく放置することになるパンは、どうしても湿気を帯びてしまいます。
店にはパンを焼く設備がないので、近所の木村屋で仕入れています。各種あんぱんで有名な老舗ですが、銀座にあるフレンチ、イタリアン、洋食屋など数多くのレストランが信頼を置くフランスパンを毎日焼いています。品質だけでなくその量もこの地域ではダントツ。正午前の11時20分になると、焼きたてのパンをもとめてウェイターや料理人が列を成します。夕方も同様で、午後5時20分には、ディナーで提供するためのパンを買いに来る同業者がいつも並んでいます。とはいえ、雨の日や週の初めで予約があまり入らないときはパンを買い控えるもの。木村屋の奥にある業務店用のフランスパン置き場にたくさんのパンが売れ残っているのを見ると、「今日はどこもヒマだな」と思ったりします。
いつも買い置きしているのは、バゲットよりも太くて長い“パリジャン”。硬い外皮の割合がすくないため、ソースをつけて食べやすく、軟らかいので年配のお客さまへも安心して提供できます。最良の状態は焼きたてを買ってきてから3時間まで。その後はやはりすこしずつ味が落ちてしまう。




