(取材・文=中村 江里 写真=村田和聡)
フレンド商会は、創業74年目を迎える老舗のスポーツ自転車専門店だ。2代目である中野隆氏(なかの・たかし、63歳)は、幼い頃から自転車に親しみ、自転車文化を広めることに力を注いできた。自転車のプロである中野氏に、自転車の選び方や、最近話題の自転車通勤について話をうかがった。
「ママチャリ」から卒業しよう
私は今まで一貫してスポーツ自転車を扱ってきましたが、日本の自転車文化はまだまだ未熟だと思います。日本の自転車はほとんどがいわゆる“ママチャリ”で、スポーツ関係の自転車は5%程度に過ぎません。“自転車は使い捨てのもの”という考え方が根強く、数千円の自転車に乗り、油も注さずにガラガラ音を立てて走っている人が多い。非常に残念なことです。ヨーロッパでは“自転車は耐久消費財”という考え方があり、皆10万円程度の自転車を買い、ていねいに手入れをして長く大事に使います。これは、環境への配慮やもの全般を大切にする精神にもつながっている。日本にもそういう成熟した自転車文化を広めたいですね。
健康にいい、四季を楽しめる、日々新しい発見がある
——自転車は“いいことづくし”
実用一辺倒の“ママチャリ”だけではなく、健康のための自転車、遊びとしての自転車にもっと目を向けてほしいと思います。自転車は、まさにいいことづくしです。まず健康にいい。自転車通勤は体をしぼるのに最適です。片道10km程度の距離を半年間乗り続ければ、5〜6kgは確実に痩せます。無理して減量せず、食べながら痩せられるのが自転車のいいところ。今流行りのメタボリック症候群にも効きますよ(笑)。
そして何といっても「気持ちがいい」というのが、多くの人が自転車にハマる一番の理由だと思います。ほどよい速度で走るので、季節の変わり目を実感できる。春に桜を楽しんだり、川沿いの道を走ってカモを眺めたり。自転車は自然に溶け込むことができるのです。また自転車に乗ると、今までは目に留まらなかった店などに気づくことも多いです。よく知っていると思っていた道で新たな発見をしたり、今までは足を踏み入れなかった裏道を開拓したくなったりする。自転車に乗り始めると、毎日が刺激的になりますよ。
気軽に楽しく自転車通勤を始めよう
今、自転車通勤がちょっとしたブームです。通勤に自転車を使う人は、ここ2〜3年で急速に増えています。自転車と車ではかなりスピードが違うと思っている人が多いのですが、実は自転車はけっこう速い。電車で行くのと所要時間はあまり変わりません。自転車を買ったら、いきなり平日に乗って行くのではなく、まずは散歩がてら休みの日に会社まで行ってみることをお勧めします。あまり気負わず、楽しく乗ることが自転車通勤を続けるためのコツです。
「必ず会社まで自転車で行く」と決めることはありません。途中の駅まで自転車で行って、そこから電車に乗って会社まで行ってもいいし、帰りが遅くなったり、疲れた時は自転車を置いて帰ればいい。気張りすぎると続きませんから(笑)。通勤のコースとしては、川沿いの道を通って会社まで行くのが一番安全でお薦めです。四季折々の風景を存分に味わうことができますしね。そういう楽しさを知らずに、ただ速く走ることを目的にしてはもったいないですよ。







