iPhone6s Plusなど、スマートフォンの大型化が進行し、見やすく使いやすくなったことで、アナログな文房具の世界は戦々恐々とする中でスタートした2015年。デジタルギアに対抗するべく、各社がアイデア商品を次々と発表した。SNSを使った情報発信をリアルな文具の世界に用いたものまで登場。You Tubeなどで文房具がテーマになることも増え、2015年の文房具の世界はとにかく面白かった。

“芯”をめぐる三つどもえの戦い―シャープペンシル

 2015年は家電メーカー「シャープ」の創業者、早川徳次氏によってシャープペンシルが国産化されてからちょうど100周年。次々と新しい機能が搭載されたシャープペンシルが登場し、ブームとなった。

 シャープペンシルが注目されるようになったきっかけは、2008年に発売された三菱鉛筆の「クルトガ」。書くたびに芯が自動的に回って芯の先端が均一に磨耗するシャープペンシルだ。細くて濃い線を書き続けられることから爆発的な人気となった。

三菱鉛筆「クルトガ」(実勢価格450円)。0.3mm、0.5mm、0.7mmタイプがある
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 クルトガが発売される以前のシャープペンシルは、本体を振って芯を出す方式やサイドノック式など芯の出し方の違いや、グリップの素材や形状など持ちやすさに工夫を凝らした製品が中心だったが、クルトガは精巧なギアを内蔵し、出た芯を書くごとに少しずつ回転させることで先端が偏って減ることを防ぐというもの。同じ規格の芯を使いながら、一般的なシャープペンシルよりも細く均一な文字を書き続けることができ、芯も折れにくいという画期的な製品だ。この製品以降、芯に対するアプローチに変化をもたらす製品が多数登場する。

 2009年に発売されたプラチナ萬年筆の「オ・レーヌ」は、ペン内部での芯折れを防ぐ機構を内蔵。机などからペンを落下させても、芯折れや芯詰まりが起こりにくい。

 2014年には、ぺんてるから、シャープペンシルとしては世界最細の0.2mm芯を採用した「オレンズ」が登場。一般的な極細芯0.3mmよりもずっと繊細な芯を保護するため、金属製のパイプで芯を覆い、そのパイプから芯をほとんど出さずに書く。パイプ先端が紙に直接触れても引っかかりを感じさせないなめらかな加工が話題となった。その細さも驚異的だが、製品名が示すとおり、その細さの芯でも折れないことがポイントだ。

 同年末、ゼブラから「デルガード」が発売。"もう、折れない"をキャッチコピーにしたデルガードは、ペンを垂直に押しつけると芯が後ろに引っ込み、斜め方向に力をかけると、金属の先端部分がズルっと前にスライドして芯を保護する。この先端が前にせり出す仕組みが非常に効果的で、実際、適正な使用方法であればどんなに力をかけても芯が折れることはまずない。筆圧が強すぎて試験中に焦って芯が何度も折れてしまう学生には心強い。

ぺんてる「オレンズ」(実勢価格500円)0.2mmと0.3mmタイプがある
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 いつの間にかキーワードが「細さ」から「折れない」に変わっていたシャープペンシルは、バランスの良いクルトガを中心に、細くきれいにノートを取りたい派はオレンズに、筆圧が強くグイグイ書きたい派はデルガードにと、それぞれのニーズに合わせて分化した感じだ。